「心の復興」2015.3.11
2015年3月12日
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私は、一昨年の2月定例会で、今深刻になっている心の問題に対応するために、「東北こころの復興センター」を知事に提案しました。それは、これから述べる実態調査が深刻だったからです。
厚生労働省研究班 研究代表者 東北大教授 呉繁夫氏が行った2012年9月から 2013年6月に被災地の子どもの精神的問題調査の結果、被災3県で25.9%の子が医療的ケアが必要な状況であることがわかったのです。
この調査は、2011.3.11大震災発生時、宮古市、陸前高田市、大槌町、気仙沼市 福島市、いわき市、南相馬市、富岡町で保育園に通う3、4、5歳児クラス178名と保護者を調査対象として、「子どもの行動チェックリスト」と(CBCL)面接調査をしたものですが、一方、非被災県の三重では同様の状態の子は全体の8.5%にとどまり、被災地はその約3倍に達しました。症状としては、めまいや吐き気、頭痛、ののしり、押し黙りなどがあり、このままケアを受けずにいると、学習や発育に障害が出て、将来の進学や就職などにも影響する可能性があると警告されました。 こうした深刻な事態に対応するためです。
震災から宮城県の不登校率は、2011年度2.92%、2012年度3.14%、2013年度3.17%と全国で最も高くなっています。宮城学院女子大学に設置されている、震災復興心理・教育臨床センターでは、避難所で活躍した高校生男子が、3年3ヶ月後、大学内でフラッシュバック不登校、退学、統合失調症疑いと診断され、PTSDの診断を受けたことが報告されています。
現在で行われている心のケアは、心のケアセンター、こども心のケアチーム、国の東日本大震災中央子ども支援センターが閉鎖され、その受け皿として名取市の精神医療センターの3つの柱で心のケアに対応しています。 県で行われている心のケアの対策は、心の傷の進展の予防や対処/治療の支援が絶対的に不足し、ケアに始まりケアに終わっているのが実態です。国でも23年12月27日に、被災者の心のケアについて調査し、中長期的な心のケア対策が必要としていましたが、その後の対策が取られていない状況です。その原因として行政、専門職、市民の知識不足、圧倒的専門職のマンパワー不足、専門職同士の対策に関する問題と課題の共有不足、あるいは教育現場と専門職のシステムの構築の欠如などが考えられます。
大災害後の心の傷(トラウマ)対応の責任者の国際基督教大学名誉の小谷英文教授は、心理臨床に関する国際学会で、東南海トラフ巨大地震や首都圏の大規模地震も予測される今こそ、この東日本大震災の経験を教訓として、個人、集団、組織、社会が抱える課題、問題を直視し、隠された子どもたちの心の傷(トラウマ)を可視化し、現在から将来に向けての学びの明確化と検証、臨床と心理教育を同時に行うシステムの構築のために「東北メガ災害心理臨床・教育センター」の設置が必要だと提言しています。深刻である心の問題に対応するために、「東北こころの復興センター」構想を、私は、一昨年の2月定例会で知事に提案し、知事は国と協議をしてゆくとご答弁しました。宮城をはじめ福島、岩手の被災地の子ども心の復興への対策を講じることは喫緊の課題です。震災時を経験した子どもたちが20年後、宮城の時代を担う大人になります。
被災地の心の復興をめざし、私は改めて、よりグローバルな視点から「東北メガ災害心理臨床・教育センター」構想について知事に提案しました。地方創生の復興事業も含めセンターの設置に向けたプロジェクトを早急に立ち上げていただきたくよう、このセンターは国の事業として提案し、被災した子どもが20年後まで継続して支援を行うために、センターの費用として、みやぎこども育英募金を充ていくようより具体的な行動にしてゆきたいと思います。