平成28年9月14日宮城県議会

2016年9月16日
 平成28年9月14日に宮城県議会が開会しました。
 「放射能被ばくに対する子どもの健康調査の実施を求めること」について賛成の立場から討論を行いました。

請願番号355の1
「放射能被ばくに対する子どもの健康調査の実施を求めること」について賛成の立場から討論を行います。
 放射能被ばくに対する子どもの健康調査の請願については、2012年に県内92団体からなる「子どもたちと妊産婦を放射能から守る宮城県連絡会」から「子どもたちと妊産婦を放射能から守るための体制の確立を求める」請願が提出され、7月6日の本会議で全会一致で採択をしております。当時私は保健福祉委員としてこの請願の審査にあたりました。
 請願の取扱いについて専門家、丸森町の住民、自治体から意見を聴取し、半年間、慎重に審議を重ね、「健康調査を実施するのに必要な経費については、国と東京電力(株)が対応をするよう求めること」として請願を全会一致で採択しました。
 その後、平成24年から28年の現在まで、震災復興特別交付税を活用して、栗原市、丸森町、大河原町で、ホールボディカウンターの導入、ホールボディーカウンターによる内部被ばく線量測定、及び甲状腺検査が行われています。
 平成24年度は栗原市で内部被ばく線量測定費用助成が80万5000円、ホールボディカウンターの導入経費として4821万円、丸森町では甲状腺検査の経費として467万4000円が助成されています。平成25年度はこの「交付税」で栗原市で内部被ばく状況検査、丸森町で甲状腺検査、大河原町でホールボディカウンターによる検査が実施されました。平成26年度には栗原市、大河原町でホールボディカウンターの検査、丸森町でホールボディカウンターの検査と甲状腺検査が行われています。平成27年度も栗原市でホールボディカウンター検査、丸森町で甲状腺検査が行われ、平成28年度は4月1日から7月31日の実績で栗原市でホールボディカウンター検査、丸森町で甲状腺検査が実施されています。
 丸森町は今年6月2日に甲状腺検査結果を公表していますが、事故当時18歳以下の子ども等を対象に平成27年7月から平成28年4月まで実施した甲状腺検査(第二回目)の結果は、検査を受診した1564人の対象者のうち精密検査が必要なのが11人で、そのうち甲状腺がんと診断されたものが1人、がんの疑い1人という結果が報告されました。この2人は1回目の検査で異常なしとされた方です。 
 2012年2月に出された「宮城県健康影響に関する有識者会議」の報告書では、丸森町筆甫・耕野地区で実施された健康調査にもとづいて報告がなされ、「甲状腺がんの発生の心配はない」とされています。今回の検査結果と大きく異なっています。
 また、原発事故による宮城県内の母子の心理的影響について、東北大と福島大の研究グループが実施した調査結果によると、放射線の高い地域(汚染状況重点調査地域)では不安が高く、低い地域では不安感が少ないという傾向になっています。この調査に加わった東北大学薬学部の講師吉田浩子さんは放射線防護の専門家ですが、2012年の請願審査の時の意見聴取会で意見を聞いています。その吉田さんが「原発事故が親のストレスを高め、行動をネガティブなものにし、子どもの発達に影響を及ぼすことがある」と指摘しています。
 県は、2011年当時の有識者会議の報告を受け、健康調査の実施は必要なしと判断をしています。しかし明らかに当時と状況が変化しており、「放射能被ばくに対する子どもの健康調査の実施を求めること」は2012年の請願採択の時よりも健康調査の必要性が高まっています。
 そうした中、保健福祉委員会に、2016年2月19日にゆきとどいた教育をすすめる宮城県連絡会から請願「放射能被ばくに対する子どもの健康調査の実施を求めること」が提出され、7月21日の常任委員会で不採択としました。
 東日本大震災から5年半の今、宮城県が行うべきは、汚染状況重点調査地域等の現在の状況を分析すること、悩みながら子どもを育てている母親、父親をサポートし、親が希望する子どもの健康調査を実施することが必要なのではないでしょうか。
 「放射能被ばくに対する子どもの健康調査の実施を求める」請願について、2016年の現状にもとづき、専門家等の意見聴取を行うなど十分な慎重審議を継続することが必要です。議員のみなさま、「宮城の子どもたちの命を守る」ために、請願に賛成することを心からお願いし、私の討論といたします。