後期高齢者医療制度 2月議会から

2008年4月7日
 新年度を迎え、食品の値上がりとともに、後期高齢者医療制度が導入されることに伴って、多くの高齢者の皆さんから不安のと不満の声が寄せられています。
 改革みやぎは、 2月議会において第21号議案 後期高齢者医療財政安定化基金条例に反対し平成20年度宮城県一般会計予算に反対しました。
 86歳の方からの相談では、4月から年金から天引きされる後期高齢者医療保険は納得がいかない「国政の権利を利用して、私的財産(年金)への侵害ではないか」との相談を受け制度の導入にあたり、制度への不満と将来への不安を抱えている高齢者が多いことを改めて実感しました。
 後期高齢者医療制度は、2006年の164国会で与党の強行採決により成立した医療制度改革関連法に基づき、4月より施行される予定でしたが、「中止・撤回を求める署名は350万筆を超え、13都道府県議会をはじめ全地方議会の3割に及ぶ525議会が意見書を採択しています。こうした負担増への国民不安・批判の高まりを受けて政府与党は凍結・軽減措置を決め、平成19年度補正予算で対応しました。

 野党は衆院予算委員会の補正予算案審議等において、
  1. 現役から高齢者への支援金が増大すること
  2. 平均寿命が75歳以上の人口に大きな男女格差がある不合理な制度となること
  3. 病気に罹りやすい「健康弱者」である高齢者に一律に現役並みの自己負担を強いる不公平を生むこと
  4. 保険料を年金から天引きして事実上の年金引き下げとなること
など大きな問題点を指摘しました。
 その後、民主党はじめ、共産、社民、国民新の野党4党は2月28日夕、 後期高齢者医療制度の廃止と、70歳から74歳の医療費窓口負担の引き上げの中止を柱とする「後期高齢者医療制度厚生労働省としてを廃止する等医療に係る高齢者の負担の増加を回避する等のための健康保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案」(後期高齢者医療制度廃止法案)を衆議院へ提出しました。

 宮城県内の市町村から後期高齢者医療制度の見直し等を求める意見書を採択しているのは、3月14日現在 石巻市議会、大河原町議会、はじめ気仙沼、名取市、角田市、岩沼市、登米市、栗原市、蔵王町、七ヶ宿町、村田町、柴田町、亘理町、松島町、本吉町 15市町村でおよそ半数の県内市町村から国に対して強い要望が提出されています。

 意見書の中でも指摘されているように、後期高齢者医療制度は、運営主体(保険者)は都道府県単位で形成される市町村の連合体である広域連合が財政責任をもつことになるなり、一方で医療費適正化計画等を作成するのは都道府県です。計画を作成するところと財政責任を負うところが別になり、連携が取れるのは極めて不十分と言わざるをえません。後期高齢者医療制度の運営に当たっては、市町村、広域連合、都道府県それぞれがどんな役割を担い、どう連携するか十分論議されていません。実際に広域連合設置に関して知事会と市長会で意見のズレがあり、連携がどう担保されるか十分な調整が必要です。
  適正化計画の具体的な中身として、平均在院日数や療養病床の削減がありますが、その議論の前提として疲労困憊ともいえる勤務医が置かれている厳しい勤務実態を把握する必要性があり、医師の確保が随所で必要になってくる実態を踏まえれば、早急に検討し、勤務医の労働条件の改善に努めることが必要です。
 さらに、在院数短縮に伴う引き続きの医療の受け皿として制度化される「在宅療養支援診療所」の診療所設置には多くの医師の協力が必要であり、現状認識に基づく緻密な医師数の必要性の試算と医師確保に向けた国(厚生労働省)として前向きな取り組みがなされない限り、その実効性は期待できないと思います。

 同時に、在宅日数短縮を目指したとしても老夫婦だけや高齢者の一人暮らしといった状況にある過疎地などでは、さらなる受け皿施設が必要となります。制度の導入には、大きな問題点があり、高齢者の将来への不安がさらに増大し、改革の本来趣旨とは逸脱した制度です。誰もが安心して暮らすことができるみやぎをめざすために、後期高齢者医療制度は廃止すべきと思います。