改革みやぎ・県議会報告

2014年6月
~平成26年6月 宮城県議会定例県議会~

質問/遊佐美由紀
1 震災復興への課題と対応策について
以下2点について知事及び警察本部長の所見を伺いたい。
(1) 震災復旧事業の違法伐採・土砂違法採取問題について
 名取市内で発覚した土砂の無許可採取や仙台市内で発覚した大規模な森林伐採の背景には、震災復旧事業向けの土砂の需要増がある。秘密裏に行えば短期間で大きな利益が見込めるため、違法伐採・違法採掘の素地が十分にあったと聞くが、こうした事態についてどうか。
回答
 ゆさみゆき議員の一般質問にお答えいたします。
 大綱3点ございました。
 まず、大綱1点目、震災復興への課題と対応策についての御質問にお答えいたします。
 初めに、震災復旧事業の違法伐採・土砂違法採取問題に関して、このような事態をどのように受け止めているかとのお尋ねにお答えいたします。
 東日本大震災の発生から3年3か月あまりが経過し、復旧・復興事業が本格化している中、これらの事業に使用する土砂の需要増に伴い、森林法及び採石法の許認可件数は急増しております。
 こうした状況を踏まえ、県では適正な許認可事務に努めてきたにもかかわらず、一部の事業で、許認可を受けずに採取された土砂が使用されたことは、誠に残念なことであります。
 県といたしましては、今後、国や市町村等関係機関と連携し、開発業者をはじめ、公共事業の発注者や受注者等に対し、許認可制度のより一層の周知徹底と適正な土砂の使用を強く要請し、違反行為の未然防止に努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
1-(1) 震災復旧事業の違法伐採・土砂違法採取問題について
 名取市内で発覚した土砂の無許可採取や仙台市内で発覚した大規模な森林伐採の背景には、震災復旧事業向けの土砂の需要増がある。秘密裏に行えば短期間で大きな利益が見込めるため、違法伐採・違法採掘の素地が十分にあったと聞くが、こうした事態についてどうか。
回答
 大綱1点目、「震災復興への課題と対応策について」の御質問のうち、震災復旧事業の違法伐採・土砂違法採取問題についてのお尋ねにお答えいたします。
 仙台市蕃山における樹木伐採事案及び名取市愛島における土砂採取事案につきましては承知しておりますが、個別具体の事案に関しては、捜査機関の立場にある者として答弁は控えさせていただきます。
 なお、一般論として申し上げれば、刑罰法令に触れる行為があれば法と証拠に基づき適切に対処してまいります。

質問/遊佐美由紀
1(1)-ロ 監視体制を強化するなど再発防止策を講じ、万全を期すべきと思うがどうか。
回答
 大網1点目、震災復興への課題と対応策についての御質問のうち、監視体制の強化と再発防止策についてのお尋ねにお答えいたします。
 県では、今回の森林法等における違反行為の発生も踏まえ、6月16日に「林地開発等における違反行為防止対策実施要領」を制定したところであり、市町村や関係団体と連携を図りながら、県職員、自然保護員及びボランティアである森林保全協力員等による巡視を強化してまいります。
 また、春と秋の年2回、違反行為防止強化期間を設定し、県内全域を集中的に巡視するほか、開発事業者等へのリーフレットの配布やホームページへの掲載等を通して、広く県民に許認可制度の周知を図ってまいります。
 さらに、この巡視強化策の一環として、昨日6月23日には、県南地域を中心に防災ヘリコプターで上空からの巡視も実施しており、今後もこれらの取組を継続的に推進し、違反行為の未然防止と早期発見に努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
1(1)-ハ 今後の県発注工事でも、工事で使用する土砂に関連して違法伐採や違法土砂採取が行われる可能性もある。今後の県発注工事すべてで調査すべきと思うが、体制についてどうか。
回答
 大網1点目、震災復興への課題と対応策についての御質問のうち、県発注工事における違法伐採、違法土砂採取の調査についてのお尋ねにお答えいたします。
 県発注工事において、1,000立方メートル以上の購入土を使用する場合、受注者は購入土を搬入する前に、砕石法や砂利採取法に基づく採取計画認可書の写しを監督職員に提出するよう、農林水産部及び土木部の仕様書に規定しております。
 今般、このような事案が発生したことから、購入土の適正な取り扱いについて徹底するよう関係各課室、各地方機関あて通知するとともに、現状の確認調査を実施しているところでございます。
 今後も、県発注工事において違法に採取された土砂を使用することのないよう、仕様書の規定に基づく適正な事務処理の徹底に努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
1(1)-ニ 森林の持つ様々な公益的機能を保持するためには保安林指定が有効だと思うが、指定条件及び指定地域の状況についてどうか。また、今後保安林指定を推進してはどうか。
回答
 大網1点目、震災復興への課題と対応策についての御質問のうち、保安林についてのお尋ねにお答えいたします。
 保安林の指定については、水源のかん養や災害の防止など、森林の有する公益的機能の発揮が特に必要と認められる森林を対象に行なってきたところであり、河川の上流や沿岸部など、県内の森林全体の約4割が指定されている状況にあります。
 県といたしましては、「みやぎ森林・林業の将来ビジョン」に基づき、安全・安心な県土の実現を目指し、民有林において保安林の指定を計画的に推進しているところであります。
 今後とも、市町村や森林所有者等との調整を十分に図りながら、保安林指定を進め、県民生活の安全確保に努めてまいります。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
1(1)-ホ 必要でかつ、防災や環境面で悪影響を及ぼさない場所で行う森林伐採や土砂採取については、迅速な申請や許可が可能となるよう、法手続きの見直しを国に働きかけてはどうか。
回答
 次に、申請や許可の迅速化と法手続きの見直しの国への働きかけについての御質問にお答えいたします。
 森林等における土砂の採取については、適正な方法で行われない場合、防災や環境面で悪影響を及ぼすおそれがあることから、許認可に当たっては、災害の防止、水害の防止、水の確保及び環境の保全等の観点から、適正に審査することにより、県民の安全と快適な生活環境を守っているものでございます。
 したがいまして、許認可制度を緩和することは県民生活に影響を及ぼしかねないものであるため、手続き等の見直しは慎重に検討すべきと考えております。
 県といたしましては、採石業者に対する研修会での丁寧な説明や、森林法の手続きをより分かりやすく解説した手引書を改訂するなどし、開発事業者が申請しやすい環境づくりに配慮しておりますが、引き続き、許認可等の手続きの迅速化に努めてまいります。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
1(2) 行方不明者捜索について  名取市閖上地区で行われる浚渫工事では、行方不明者の捜索も併せて行うことを施工業者と申し合わせたと聞くが、行方不明者の特定に繋がるものが発見された場合の対応や捜索範囲の拡大など、実効性を高める体制は整っているのか。
回答
 次に、行方不明者の捜索に繋がる実効性を高める体制は整っているのかとの御質問にお答えいたします。
 閖上港の浚渫工事においては、行方不明者の御家族の強い要望もあり、復旧工事の施工区域の範囲内ではありますが、浚渫作業の工程で捜索の一助となるよう可能な限りの配慮をすることにしたものであります。
 また、浚渫工事の施工に当たり、施工業者には、行方不明者の手がかりとなるようなものが発見された場合には、速やかに警察署に届け出るよう適切に指導をしております。

質問/遊佐美由紀
1(2) 名取市閖上地区で行われる浚渫工事では、行方不明者の捜索も併せて行うことを施工業者と申し合わせたと聞くが、行方不明者の特定に繋がるものが発見された場合の対応や捜索範囲の拡大など、実効性を高める体制は整っているのか。
回答
 次に、「名取市閖上地区における浚渫工事に伴う行方不明者の捜索」に関する御質問にお答えいたします。
 県警察では、東日本大震災の発災以来、関係機関等と連携しながら、名取市閖上地区の浚渫工事現場はもとより、その周辺地域も含めて、機動隊の潜水部隊を投入するなどして、行方不明者の捜索活動を実施してきたところであります。
 浚渫工事業者とは、平成25年2月に作業の手段方法を確認するとともに、人骨などが発見された場合には、速やかに警察に通報していただくなど連絡体制を確立しているところであり、これまでに湾内に沈んでいる車両や人骨の発見について通報を受けております。
 今後も、名取市閖上地区につきましては、関係機関や浚渫工事業者と連携の上、月命日を中心に行方不明者御家族の御意向にも配慮しながら、捜索活動を継続してまいります。
 以上でございます。

質問/遊佐美由紀
2 東北発の少子高齢社会のモデルづくり
 以下4点について知事及び教育長の所見を伺いたい。
(1) 保健・医療・福祉における多職種協働教育による「地域包括ケア」の推進
 被災地の実情に合わせた保健・医療・福祉の再構築を地域包括ケアシステムとして実現するため、各分野における実践現場の連携を重視した専門教育として、多職種協働教育を推進してはどうか。
回答
 大網2点目、東北発の少子高齢社会のモデルづくりについての御質問のうち、保健・医療・福祉における多職種協働教育についてのお尋ねにお答えいたします。
 被災地においては、行政や医療機関をはじめとする専門機関が連携した健康支援や見守りが行われておりますが、この取組を災害公営住宅等への移行後も地域で支える体制として構築しながら、地域包括ケア体制につなげていく必要があるものと認識しております。
 そのためには、保健・医療・福祉の専門職による連携が不可欠であることから、多職種協働による在宅チーム医療を担う人材育成のための研修事業や、各圏域で多職種の関係者が集い、グループワーク等を通じて地域の課題を検討する取組を支援しております。また、市町村や地域包括支援センターが開催する地域ケア会議への専門職派遣や、センター職員向けの研修会の開催等により、地域ケア会議の充実を図っているところでございます。
 今年度はさらに、専門職向けの研修会を各圏域でも実施することとしているほか、新たな財政支援制度として創設される予定の基金の活用も検討してまいります。

質問/遊佐美由紀
2(1)-ロ 応急仮設住宅などのサポートセンターが今後備えるべき機能として、高齢者、障がい児者、子どもをはじめとしたあらゆる地域住民が共に利用し必要なサービスを受けられる地域包括ケアシステムがあり、石巻市の事例を参考に、市町と連携して推進すべきと思うがどうか。
回答
 次に、地域包括ケアシステムの推進についての御質問にお答えいたします。
 仮設住宅のサポートセンターでは、年齢や障害の有無にかかわらず、被災者の健康支援や見守りを行なっておりますが、少子高齢化が進展する中、こうした機能を全県で地域包括ケア体制に広げていくことが求められております。
 石巻市では、開成・南境地域の仮設団地を拠点に、24時間対応の在宅医療、看護・介護体制の構築に向け、医師、看護師、地域包括支援センター職員等の専門職だけでなく、仮設住宅の自治会や民生委員など、地域住民を巻き込んだ形のモデル事業を進めており、将来的には、高齢者を主体に障害児者や子ども含めた地域包括ケアシステムの構築を目指しております。
 県といたしましては、石巻市の取組がこれからの地域包括ケア体制のモデルとなり得るものと考えており、こうした取組も参考にしながら、地域包括ケア体制構築に向け、市町村を支援してまいります。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
2(2) 医学部新設による医師育成
 宮城県での医学部新設に当たっては多職種協働教育を推進し、宮城大看護学部はもとより、福祉・薬学・歯学などと連携して様々な分野の施設での教育を積極的に行うことで、今後の地域医療や我が県の地域包括ケアを担う人材を育成すべきと思うがどうか。
回答
 次に、大網2点目、東北発の少子高齢社会のモデルづくりについての御質問のうち、医学部新設による医師育成についてのお尋ねにお答えいたします。
 県立医学部の新設構想では、目指すべき方向性として、過疎化・高齢化が進む東北地方の地域医療に貢献できる総合診療医の育成を掲げております。
 このため、県の構想が国から選定された場合には、宮城大学看護学部をはじめ、各大学や関係機関・施設・団体等と連携・協力できる体制を構築することにより、各分野における教育や実践活動の経験とノウハウ等を相互に活用し合いながら、地域の医療ニーズに対応できる医師や地域包括ケアを担う人材の育成を図ってまいります。

質問/遊佐美由紀
2(3) 少子高齢社会に対応した住まいづくり
 国や県では地域包括ケアを見据えた災害公営住宅の整備方針等を策定しているが、市町の対応は遅れている。市町において住宅部門と医療・福祉部門が適切に連携し、住まいの復興と地域包括ケアに一体に取り組めるよう、県独自の支援策を検討すべきと思うがどうか。
回答
 次に、大網2点目、東北発の少子高齢社会のモデルづくりの御質問のうち、住まいの復興と地域包括ケアに係る県独自の支援策についてのお尋ねにお答えいたします。
 県では、復興住宅市町村連絡調整会議において、各市町の住宅及び福祉の担当職員を対象に高齢者ケアが導入されました公営住宅の具体的事例や、県内での先行的な取り組み、災害公営住宅に福祉施設を併設する場合の補助制度を紹介するとともに、生活支援体制のあり方を助言するなど、「宮城県災害公営住宅整備指針『ガイドライン』」の実現に向けて支援してまいりました。
 また、南三陸町におきましては、県主導で、災害公営住宅に併設される集会所を拠点とし、地域包括ケアの実現に向けた住宅と福祉の連携モデル事業を提案し、検討を進めているところでございます。
 さらに、地域包括ケアを全県的に進めるため、宮城県地域包括ケア推進協議会準備委員会を立ち上げ、専門委員会で住まいの確保についても検討することとしております。県といたしましては、市町において、住宅部門と福祉部門が連携して、住まいの復興と地域包括ケアに一体的に取り組めるよう市町を支援してまいります。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
2(4) 農山漁村の自然体験による環境教育及び共に学ぶ教育
 アウトドア環境教育とグリーンツーリズムを連携させて先進的な地域づくりを進めているスウェーデンの都市と交流しながら、両者の融合プログラムを県のプロジェクトとして立ち上げ、融合プログラムを実践する先進的な地域を東北・宮城の地で作り上げてはどうか。
回答
 大網2点目、東北発の少子高齢社会のモデルづくりについての御質問のうち、アウトドア環境教育とグリーンツーリズムの融合プログラムについてのお尋ねにお答えいたします。
 野外での環境教育や体験活動は、子どもたちの体力はもとより、学ぶ意欲や自立心、思いやりの心、規範意識を育むなど、教育面で多くの効果があるものと考えております。
 県内において、このような考え方のもとに、ESDと呼ばれる「持続可能な開発のための教育」に取り組んでいる学校や地域があり、特色ある取組が進められているところです。
 具体的には、気仙沼市内の小中学校において、地域にある身近な自然を活かして体験的に学ぶ環境教育が実践されているほか、東松島市では、地域の自然を活かした復興の森をつくり、森全体を学びの場とする「復興の森づくりと森の学校プロジェクト」が展開されているところであります。
 県教育委員会としましては、まずは、このような体験活動を重視した環境教育の取組を支援してまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
2(4)-ロ 現在策定中の宮城県特別支援教育将来構想においても、前の構想が目指した「共に学ぶ教育の実現」を盛り込み、取組を進めるべきと思うがどうか。
回答
 次に、共に学ぶ教育についての御質問にお答えいたします。
 障害のある子どもと障害のない子どもが地域の中で「共に学ぶ」ことは、障害の有無にかかわらず互いの人格と個性を尊重し支え合う共生社会を実現する上で、重要であると認識しております。
 平成17年7月に策定した「宮城県障害児教育将来構想」は、この理念を基にしたものであり、現在、策定を検討している新たな構想についても、この基本理念を継承しつつ、特別支援教育の一層の充実に向けて、審議会において、議論を進めていただいているところであります。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
3 国連防災世界会議に向けた政策提言について
以下2点について知事の所見を伺いたい。
(1) 今月仙台市でジェンダーの政策に関する会合が開かれ、東日本大震災を経験した女性や国内外のジェンダー専門家らによる提言案がまとめられた。この提言案の内容を我が県の政策に反映するとともに、第3回国連防災世界会議の議論に反映してほしいと思うがどうか。
回答
 次に、大網3点目、国連防災世界会議に向けた政策提言についての御質問にお答えいたします。
 初めに、ジェンダー専門家らによる提言案についてのお尋ねにお答えいたします。
 提言案では、防災・災害救援、復旧・復興に関する政策、計画等の立案に際し、ジェンダーの視点を主流化することや、意思決定の場に女性が参画し、リーダーとして活躍できる仕組みの構築などが提唱されております。県といたしましても、防災や復旧・復興の分野において、男女共同参画の視点に配慮することは、大変重要であると認識しており、宮城県地域防災計画の修正や、防災対策実践講座の実施などに取り組んできたところであります。
 今後とも県の様々な施策において、提言案の趣旨も参考にしながら、男女共同参画を積極的に推進してまいります。
 また、第3回国連防災世界会議で採択予定の新たな「行動枠組」につきましては、各国政府間での会合を経て策定されるものでありますが、我が国の提案内容を検討する国の準備会合の中では、ジェンダーへの配慮や女性の活躍推進の視点を盛り込むべきといった意見が出されているところであります。県といたしましても、国の準備会合の中で、被災地の教訓と知見の一つとして、男女共同参画の視点が反映されるよう仙台市と連携を図りながら、働きかけてまいります。

質問/遊佐美由紀
3 国連防災世界会議に向けた政策提言について
(2) 集団的自衛権行使について連日報道されているが、今日本に求められるのは、平和憲法を活かし平和的な解決を追求することだ。この問題に対する見解についてどうか。
回答
 次に、集団的自衛権行使と平和憲法に対する認識についての御質問にお答えいたします。
 世界平和は、人類共通の願いであります。国際紛争等がある場合には、話し合いなどにより平和的に解決されることが最も望ましいものであり、そのためにも国際的な安全保障体制をどのように構築するかが重要な課題であると認識しております。
 集団的自衛権の行使については、国の安全保障政策の根幹に関わる問題であり、昨今、様々な議論がなされてきたところでございますが、国において、十分議論を尽くし、国民の理解が得られるよう対応すべきものと考えております。
 私からは以上でございます。