改革みやぎ・県議会報告

2013年2月
~平成25年2月 宮城県議会定例県議会~

質問/遊佐美由紀
1 平成25年度の県政運営と政治姿勢について、以下7点について知事の所見を伺いたい。
(1) 安倍政権は社会保障やセーフティネット等についての具体的方針を示していないが、真に経済成長を実現するためには、全国民の生活が豊かになり、雇用の質の向上や生活困窮者対策が講じられることが必要だ。知事は、社会保障の充実やグリーンエネルギー戦略等を政権交代の有無に拘わらず推進すると表明したが、その方針に変わりはないか。
回答/知事
 「富県共創!活力とやすらぎの邦づくり」を県政運営の理念とする「宮城の将来ビジョン」を着実に進めるに当たっては、保健福祉施策の充実や再生可能エネルギーの導入などについて継続的に取り組むことが重要であると認識しております。このため、今後も、保健福祉施策について、入所待機者の解消を図るための特別養護老人ホームの整備や、被災地を中心に不足している保育士等の人材確保支援などを進めてまいります。
 また、再生可能エネルギー導入の促進については、「再生可能エネルギー室」を設置し、住宅や公共施設への太陽光発電の導入促進などの拡充強化を図りながら進めてまいります。このような施策を通じて、「安心と活力に満ちた地域社会づくり」にしっかりと取り組んでまいります。

質問/遊佐美由紀
1(2) 国は来年度から生活保護費の削減実施を決定したが、最も影響を受けるのは子育て中の母子家庭であり、1割程度も削減される家庭もある。拙速に生活保護費を削減するのではなく、低所得世帯と生活保護世帯の所得逆転現象を解消するための分析と対策、生活保護から脱却するための就労支援の強化を図るべきであり、国に対して強く再考を求めるべきと思うがどうか。
回答/知事
 国においては、平成25年度当初予算で、生活保護制度を見直すとともに、生活保護の適正化や生活困窮者の自立・就労支援等を更に強化するための事業を実施する考えを示したところですが、県では、現段階で具体的な内容が示されておりませんので、今後、示されますその内容を把握し、適切に対処してまいります。
 また、生活保護受給者への就労支援については、これまでも保健福祉事務所においてハローワークへの同行訪問や就労支援員の配置などを行ってきたところであり、引き続き支援に取り組んでまいります。

質問/遊佐美由紀
1(3) 安倍政権は、自治体の理解を得ないままに地方公務員給与の削減を名目として地方交付税を減額したり、一括交付金を廃止して「ひも付き補助金」を復活させるなど地域主権改革に逆行している。知事は、地方交付税削減について遺憾の意を表明したが、削減に反対する強い姿勢で要望すべきと思うがどうか。また、一括交付金の廃止についても撤回を求めるべきと思うがどうか。
回答/知事
 平成25年度地方財政対策において、国が地方公務員給与費の削減という政策目的を達成するために、地方固有の財源である地方交付税の削減を決定したことは、極めて不適切であり、大変遺憾であると考えております。
 国の決定を受けて直ちに、地方六団体連名で「平成25年度地方財政対策・地方公務員給与についての共同声明」を発表し、地方から国に対して、今回の措置に反対する意思を表明したところです。

質問/遊佐美由紀
1(3) 安倍政権は、自治体の理解を得ないままに地方公務員給与の削減を名目として地方交付税を減額したり、一括交付金を廃止して「ひも付き補助金」を復活させるなど地域主権改革に逆行している。知事は、地方交付税削減について遺憾の意を表明したが、削減に反対する強い姿勢で要望すべきと思うがどうか。また、一括交付金の廃止についても撤回を求めるべきと思うがどうか。
回答/知事
 「地域自主戦略交付金」、いわゆる一括交付金については、手続きの煩雑さなどに課題があったものの、各省庁の所管にとらわれず、地方自治体が自主的に選択した事業に使用することが可能であったことから、地方分権の観点においては評価されていたところであります。
 地域自主戦略交付金が各省庁の交付金等へ移行することについては、いわゆる「ひも付き補助金」に戻ることで、地方の裁量の範囲が狭まるのではないかとの懸念も示されております。
 今後、政府においては、地方分権改革推進のため、地方に対する権限移譲などを進めることとしており、我が県といたしましては、地方の自主性及び自立性が十分に確保されるよう、財源の充実強化を引き続き国に対して強く求めてまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
1(4) 二次医療圏再編については、自治体間の政策的連携に関する協議の不足と、現在の人口動態を見直し根拠とする合理性の欠如の2点が課題だ。県医療審議会は計画への答申で、医師確保等の人的支援や医療機能強化に向けた財政支援など再編後の中核的医療機関の機能拡充に努めることを申し入れたが、県はこの申し入れをどう受け止めているのか。また、賛否が割れた関係自治体の意見をどう反映していくのか。
回答/保健福祉部長
 審議会からの答申に付帯意見が付されたことは異例なことであり、二次医療圏再編に反対の自治体における不安の大きさを重く受け止めているところであります。県といたしましては、医療審議会答申の付帯意見に真摯に対応し、住民の不安解消につながるような加筆・修正を行った上で、計画を策定してまいります。

質問/遊佐美由紀
1(5) 医師不足の解消をはじめとする被災地医療の復興を目指すためには、医学部設置の早期実現が必要だ。知事は精力的に行動しているが、東日本大震災からの復旧・復興期にあることを踏まえ、引き続き医学部新設の実現を国に強く求めるべきと思うがどうか。
回答/保健福祉部長
 被災地である宮城県の復興に当たっては、医師不足の解消が喫緊の課題と認識しております。そのため、これまでも機会を捉えて、国に対して医学部新設に関する要望活動を行ってまいりました。
 現在、与党の中には議員連盟をつくり政府に医学部新設を働きかける動きもあります。県といたしましては、こうした動きを的確に捉えながら、まずは、東北地方に医学部の新設が認められるよう、引き続き国に強く働きかけてまいります。

質問/遊佐美由紀
1(6) 女性の参画推進について イ 被災地の女性は、仮設住宅でものづくりや介護支援事業などを立ち上げているが、販路拡大や施設整備など今後の自立に向けた支援を求めている。緊急雇用創出事業等を活用するなど、民間支援団体と協力・連携しながら女性の自立支援を推進すべきと思うが所見はどうか。
回答/保健福祉部長
 県では、現在、男女共同参画に関する各種制度や相談窓口の情報、女性・団体等の活動状況などを一元的に紹介するため、「(仮称)男女共同参画サイト」の制作を進めております。このサイトでは、東日本大震災からの復興に取り組む女性グループの活動なども、県内外に発信していくこととしておりますが、女性の起業等に関する情報等についても、積極的に提供してまいりたいと考えております。
 宮城の復興のためには、女性の力が不可欠であると考えており、今後さらに、市町村や民間団体等と連携を図りながら、女性の自立を支援してまいります。

質問/遊佐美由紀
1(6)-ロ 日本経済を立て直すためには、女性の活用を促進する必要があるとの意見があり、国でも女性の力を社会に活かすための取組を進めている。県としても、管理職への女性登用など男女共同参画社会の実現に向け積極的に取り組むべきと思うが、決意はどうか。
回答/総務部長
 労働力人口が減少する中で、女性の力を活用していくことは、今後の県政発展のため、大変重要であると考えております。このため、「女性のチカラを活かす企業認証制度」を設け、企業における女性の登用を促進しているほか、女性が働き続けることのできる体制を整備するため、子育て支援など各種施策に取り組んでいるところでございます。
 また、県職員についましても、女性職員の登用を促進するため、職域の拡大等を通じた育成に取り組んでおります。
 平成24年4月1日現在の知事部局における課長級以上の管理職に占める女性職員の割合は4.3パーセントとなっているほか、係長級以上に占める女性職員の割合も18.4パーセントと、以前と比較し着実に上昇しております。今後も引き続き、意欲と能力のある女性職員の積極的な登用に努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
1(7) 知事2期目の任期満了を控え、富県戦略の成果と課題を踏まえながら、福祉、医療、教育の充実などの県民ニーズに応えて復興を実現するために、どう取り組んでいくのか。
回答/知事
 私は知事就任以降、「富県共創!活力とやすらぎの邦づくり」を県政運営の理念とし、産業振興を中心とした施策展開を行ってまいりました。その結果、自動車関連産業をはじめとした様々な分野で企業誘致が進み、新たな雇用が創出されるなどの成果が目に見えるようになってきていると自負しております。
 任期2期目の前半に東日本大震災に見舞われたことから、震災からの復旧・復興が最優先事項となりましたが、こうした中でも、これまでの成果を生かしながら「宮城の将来ビジョン」に掲げた「安心と活力に満ちた地域社会づくり」をしっかりと推進していくこととしております。
 復旧期の最終年度である平成25年度においては、被災した医療機関・社会福祉施設等の復旧・整備や被災者への健康支援、被災した児童生徒等の心のケアのほか、防災に関する専門学科を多賀城高校に開設するための準備など医療、福祉や教育の充実等に取り組んでまいります。
 今後とも、県民の皆様に一日も早い復興を実感していただけるよう、被災市町や国としっかりと連携しなが復旧・復興を推進し、「宮城の将来ビジョン」が掲げる県の将来像の実現を図ってまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
2 心からの復興を目指す子ども第一の政策の実現
以下4点について知事及び教育長の所見を伺いたい。
(1)心のケアについて
イ 心のケアについては、現場ニーズに応じた長期的視野での対策が必要だが、みやぎ心のケアセンターでは、現場調査によるデータが蓄積されていない。今後必要とされる心のケアのニーズ調査を早急に実施すべきと思うがどうか。
回答/保健福祉部長
 現在、県及び市町村が協同で実施する応急仮設住宅等の健康調査や市町村が独自に行っている健康調査を通じて、心のケアが必要な方々のニーズの把握を行っております。 復興に向けた被災者を取り巻く環境の変化に伴い、ニーズを的確に把握することは大変重要であることから、県といたしましては、今後とも、市町村や教育機関、医療機関等の関係機関と連携し、ニーズの把握に努めてまいります。
質問/遊佐美由紀
2(1)-ロ 心のケアセンターは、被災者ニーズに合った専門職が少ない、常勤医師は1名しかいない、長期的に予算が確保されず職員の雇用が不安定である等の課題が指摘されている。課題解決のため、子どもの心のケアチームと連携して子どもから大人まで切れ目ない支援の実施と専門職の確保を図るべきと思うが、所見はどうか。
回答/保健福祉部長
 みやぎ心のケアセンターにおける専門職の確保については、課題はあるものの、これまで国やハローワーク等を通じて、必要な人材を確保してまいりました。
 県といたしましては、心のケアについては、長期的に継続して取り組むべきものであることから、今後とも、東北大学大学院寄附講座の活用や医療機関等と連携し、引き続き被災者のニーズに対応した支援を行う専門職を確保するほか、子どもの心のケアチームとの間で、同行訪問やケース会議等を通じた情報の共有化など、現場での連携を図りながら、子どもから大人まで切れ目ない支援に努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
2(1)-ハ 心のケアの今後の推進体制の構築
(イ)県が心のケアを委託している「東日本大震災中央子ども支援センター」が機能を十分に果たしているのか検証が必要だ。子どもから大人までの切れ目のない心のケアの工程表を策定するなど戦略的・総合的な視点に立ち、国の支援を受けて「東日本心のケアセンター」を県に設置することについて検討すべきと思うが、所見はどうか。
回答/保健福祉部長
 「東日本大震災中央子ども支援センター」については、被災3県の子どもの心のケアに関する取組を支援するため国が設置し、被災地の実態を踏まえ、児童精神科医等の専門職の派遣や、研修・普及啓発事業等を実施しており、県では、これらの取組と連携し、関連施策を推進してきたところであります。
 心のケアに関する取組については、長い期間にわたって進めていく必要があり、関係機関との連携強化が重要と考えております。国の支援も、徐々に充実しつつあることから、今後とも連携を強化し、更なる取組の推進に努めてまいります。
 御提案の「東日本心のケアセンター」の設置については、現行の「東日本大震災中央子ども支援センター」の運営状況などを見極めた上で、検討すべきものと考えております。

質問/遊佐美由紀
2(1)-ハ (ロ)阪神・淡路大震災の例で明らかになったとおり、災害後期において取り組むべき大きな課題は心の問題への対応だ。心の問題に関して県の各機関が果たすべき役割や、戦略的に支援策について検討し、被災市町や県民に示すべきと思うが、所見はどうか。
回答/保健福祉部長
 心のケアに関する取組については、「宮城県震災復興計画」にも明示しているとおり、長い期間にわたって取り組む必要があることから、復旧期に加え、再生期、発展期においても、関係機関が連携し、継続的にきめ細やかな支援に取り組むこととしております。
 心のケアの推進に当たっては、今後とも、現場の実態を十分に把握するほか、市町村や医療機関、民間団体等をはじめとする関係機関との連携を強化し、被災地・被災者の状況の変化に対応した適切な支援が行われるよう努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
問2(1)-二 研修のプログラムの在り方の見直し
(イ)県が実施してきた心の復興のための研修は、教育者、保健師等の福祉専門職、保護者・生徒等の3者の交流が欠けていたのではないか。地域復興の柱となる3者が相互に信頼できる土壌を育てる必要があり、その観点に立った研修の在り方見直しが必要と思うがどうか。
(ロ)虐待やDVが増加する近年、学校の荒廃が問題となっている教育現場の実情を考えると、研修と実践を直接結びつけるシステム構築が必要な段階だと思う。知識、態度。実践の各過程を密接に繋ぎ、可視化するような研修プログラムの確立が必要と思うが所見はどうか。
(ハ)トップが孤立すると組織が動かない状況に陥ることから、組織のトップはもとより、ブレインや組織の各階層毎のリーダー育成を図るため、同じ職位で、また、上下の職位間でそれぞれ訓練するような研修が必要と思うが、所見はどうか。
(二)こうした研修プログラムを実践できる拠点を早急に設けるべきと思うが、所見はどうか。
回答/教育長
 被災した児童生徒の心のケアは、長期にわたりきめ細かな対応が必要となる重要な課題と認識しており、その人材育成に当たっては、実践を踏まえた研修や関係者同士の交流が大切であると考えております。
 このため、子ども総合センター等が中心となり、教員や保護者、保育士等を対象とし、地域のニーズや実態に合わせて、被災市町等において継続的に子どもの心のケアに関する研修を実施してきたほか、県教育委員会においても、教員に対して、児童生徒の心の健康課題に対応した研修を実施するとともに、校長、教頭等に対しては、風通しの良い組織づくりなどに関する研修を実施し、リーダーシップの育成に努めてまいりました。
 引き続き、研修と実践が結びつくよう各種の研修の在り方を工夫するとともに、校長のリーダーシップの下、学校の抱える課題に組織的に対応できるよう支援してまいりたいと考えております。
 さらに、今年4月からは、教育福祉複合施設「まなウェルみやぎ」に総合教育センターを開所する予定であり、同じく「まなウェルみやぎ」に入所する子ども総合センターや中央児童相談所などの福祉系の機関との連携も図りながら、子どもに関する教育と福祉のより一層充実した研修の場を提供し、児童生徒の心のケアに取り組んでまいります。