改革みやぎ・県議会報告

2012年9月
~平成24年9月 宮城県議会定例会一般質問から~

1 宮城の将来ビジョン・震災復興実施計画について

質問/遊佐美由紀
地域資源を活かした地域主体による復興の取り組みについて
1-イ 今後の震災復興に当たっては、持続可能な経済発展に必要とされる自然資本や人的資本等として地域資源を活かし、市町村の主体性を引き出すための取組が必要だ。具体的には、非正規雇用の若者の技能や知識を伸ばす多様な機会の創出が必要と思うがどうか。
回答/経済商工観光部長
 大網1点目、地域資源を活かした地域主導による復興の取組についての御質問のうち、非正規雇用の若者の技能や知識を伸ばす多様な機会についてのお尋ねにお答えいたします。
 現在、国では、正社員経験の少ない方を対象として、企業現場における実習と企業のニーズに即した座学などを組み合わせた訓練を行うことにより、企業における常用雇用を目指す「有期実習型訓練」制度を設けております。
 県といたしましては、地域企業に対してこの「有期実習型訓練」の活用を促進するとともに、ジョブカード制度を活用したキャリア形成支援を通じて、非正規雇用の若者の技能や知識を伸ばす多様な機会の提供に努めてまいります。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
1-ロ 保育や就学前教育への取組を強化し、女性の就労を促進する必要があると思うがどうか。
回答/環境生活部長
 ゆさみゆき議員の一般質問にお答えいたします。大網5点ございました。
 まず、大網1点目、地域資源を活かした地域主導による復興の取組についての御質問にお答えいたします。初めに、保育・就学前教育を手厚くし、女性の就労を促進することについてのお尋ねにお答えいたします。
 宮城県では、被災した保育所や幼稚園の早期復旧を支援してきたほか、保育所入所待機児童の解消に向けて、安心こども基金を活用した保育所整備を進め、受入枠の拡大を図ってきたところであり、引き続き、こうした取組を進めることとしております。
 また、幼稚園については、通常の保育時間終了後や長期休業日に、預かり保育を実施する私立幼稚園に対して補助を行うことなどにより、子育て支援の機能の充実を図っております。
 今後とも、市町村等との連携を強化し、保育所入所待機児童の受入枠の拡大や、幼稚園における預かり保育等の充実を図り、女性の就労を支援してまいります。

質問/遊佐美由紀
1-ハ NPOや社会的起業の活用など、地域課題を解決するコミュニティビジネスの展開を促進し、若者や高齢者の仕事を創出する必要があると思うがどうか。
回答/環境生活部長
 大網1点目、地域資源を活かした地域主導による復興の取り組みについての御質問のうち、NPOや社会的起業など、地域課題を解決するコミュイニティビジネスの促進についてのお尋ねにお答えいたします。
 県では、新しい公共支援基金事業によって、被災地での就労支援やコミュニティビジネスの起業等に取り組むNPOへの助成を行っております。
 今後とも、地域課題の解決に向け、地域に根ざした活動を行うNPO等に対する支援を努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
1-ニ 地域主導の再生可能エネルギー改革を促進する必要があると思うがどうか。
回答/環境生活部長
 次に、地域主導の再生可能エネルギー改革についての御質問にお答えいたします。
 私たちは、今回の大震災において、エネルギー需給の逼迫や集中型のエネルギーシステムの脆弱性を体感いたしました。今後の復興にむけたまちづくりは、再生可能エネルギーを最大限活用した、災害に強い、分散型のエネルギーシステムを構築していくことが大切だと考えております。県の震災復興計画においても、「再生可能エネルギーを活用したエコタウンの形成」を復興ポイントの1つとして揚げ、まちづくりや産業復興へ再生可能エネルギーの利用を図っていくこととしております。
 県としては、市町村のまちづくりや地域資源を活用した取り組みと連携を図りながら、再生可能エネルギーの普及を加速させてまいります。

質問/遊佐美由紀
(1) 水産業復興特区について
 知事は、「浜は高齢化が進み宮城の水産業は衰退している」との認識だが、漁協や復興を目指す地元では若者が立ち上がり、自立を目指そうとしている。知事と地元の現状認識が乖離しているが、桃浦地区への水産特区制度の導入について、漁協や地元の理解を得るためにどんな努力をしたのか。また、特区制度の導入に至った真意は何か。
回答/環境生活部長
 次に、水産業復興特区における、漁協等との協議経過や導入に至る真意についての御質問にお答えいたします。  水産業復興特区については、昨年5月に復興構想会議において提案し、それ以降、県漁協とは沿岸漁業復興連絡会議をはじめ、特区の活用についての説明を数度にわたり行ってきたところであります。今後とも、節目ごとに説明する機会を設け、理解が得られるように努めるとともに、隣接地区の関係漁業者に対しましても必要に応じてしっかり対応してまいります。
 また、水産業復興特区は、安定的な経営を実現し、後継者の育成や地域の活性化を図るため、養殖業の復興に向けた重要な選択肢の一つとして、地元漁業者を主体とした法人に民間資本の有する技術やマーケティングなどのノウハウを導入するものです。

質問/遊佐美由紀
 ある専門家は、特区法の適用によりコミュニティ分断や漁民自治の崩壊の危険があること、県が本来行うべき漁業調査を放棄することは許されないこと、更には、漁協に頼らない漁場紛争の解決方法を提示する必要があることを指摘している。これら指摘に対する所見はどうか。また、水産業復興に向けて県が果たすべき役割についての認識はどうか。
回答/環境生活部長
 次に、コミュニティの分断などの指摘や県の果たすべき役割についての御質問にお答えいたします。
 桃浦地区の漁業者は、安定かつ継続的な養殖や地域の復興の観点から十分な話し合いを行った上で、漁業者主体の法人を設立し、特区を選択したものであり、漁民自治やコミュニティが壊れるという懸念はないものと考えております。漁業権の設定につきましても、地元漁業者が従来から利用して来た漁場となりますことから、新たな漁場紛争が生じる懸念もないもと考えておりますが、新たな仕組みによる免許でありますため、県としても周辺漁場で営む漁業者も含め漁業調整に責任を持って対応してまいります。
 また、県といたしましては、水産業復興プランに基づき、復旧・復興に取り組んでおりますが、今後とも県漁協や関係団体等と一丸となりまして、ともに復興の担い手としての役割を果たしてまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
(2) 男女共同参画の視点を活かした地域防災計画の見直しについて
 超党派で構成する「みやぎ女性議員のつどい」では先日、知事に対し県防災会議等への女性登用率向上など6項目の要望を行ったが、これら要望の実現について所見はどうか。また、市町村に率先して県防災会議等に一定率の女性を積極的に登用すべきと思うがどうか。
回答/環境生活部長
 次に、「みやぎ女性議員のつどい」からの県に対する要望の実現と、県防災会議等への女性の登用についての御質問にお答えいたします。
 御要望をいただいた6つの事項はいずれも重要であると認識しており、現在見直しを行っている宮城県地域防災計画に男女共同参画の視点を十分に反映させるなど、御要望の趣旨を踏まえ、実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 また、防災会議等への女性委員の登用につきまして、一定率の目標値を定めることにつきましては、関係法による委員構成の規定等もあるため難しい面もございますが、男女共同参画の視点に配慮することは大変重要であると認識しておりますので、今年度内の地域防災計画の修正にあたり、県防災会議への女性委員の登用についても積極的に対応してまいります。

質問/遊佐美由紀
(2)-ロ 「日本女性会議2012仙台」について
(イ) 来月開催される「日本女性会議2012仙台」は、震災後の問題を乗越えるために各人がやるべきことを考え、未来に向けて発信することを目的としている。県もこの会議に積極的に参画し、女性から復興を進める積極的な取組をアピールすべきと思うがどうか。
回答/環境生活部長
 次に、「日本女性会議」に県も積極的に参画し、女性から復興を進める積極的な取組をアピールしてはとの御質問にお答えいたします。
 男女共同参画をテーマにした日本最大級のイベントである「日本女性会議」が、震災後の宮城県において開催されますことは大変意義深いものと考えております。
 日本女性会議では、災害時の対応など、男女共同参画に関する様々な課題について活発な意見交換が行われると伺っておりますので、私も、生の声を聞かせていただくこととしております。
 なお、本会議内でのアピールにつきましては、プログラムも既に決定されていると伺っておりますので、県といたしましては、今後、県民の方々を対象としたイベントや市町村職員研修会等の様々な機会を捉えて、取組を積極的にアピールしてまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
(ロ) 宮城からのアピールに当たっては、先進的な取組の紹介が必要だ。開催までの間、震災復興への女性の就労や参画を増やすことについて成果を上げるべきと思うがどうか。
回答/環境生活部長
 次に、会議開催までの間に、女性就労などの成果を上げるべきとの御質問にお答えいたします。
 女性の就労促進や意思形成過程への女性の参画は、県としても重要であると認識しておりますが、促進にあたっては、市町村や民間との協働が必要であるとともに、様々な機会を捉え意識を変えていくという時間をかけた対応も必要であることから、腰を据えながら着実に成果を上げてまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
2 原発のない社会を目指す「エネルギー政策」について
 以下4点について知事の所見を伺いたい。
(1) 国は先日、革新的エネルギー・環境戦略を策定し、新しいエネルギー社会創造への決意を示した。本県の再生可能エネルギー開発への取組は東北各県の中でも遅れているが、県は原子力からのエネルギー転換を図り、再生可能エネルギー対策を促進すべきではないか。また、女川原発の廃炉へ向けた工程表を策定すべきと思うがどうか。
回答/環境生活部長
 次に、大網2点目、原発のない社会を目指す「エネルギー政策」についての御質問にお答えいたします。
 初めに、原子力からのエネルギー転換による再生可能エネルギーの促進と、原発の廃炉に向けた工程表の策定についてのお尋ねにお答えいたします。
 国では、今月「2030年代に原発稼動ゼロ」を柱とした「革新的エネルギー・環境戦略」を策定しましたが、先般の閣議決定では、エネルギー政策については、この戦略を踏まえ、関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ遂行するとされており、具体的な方策や工程が未だ示されていないことから、関係機関による「廃炉そのものに向けた工程表」を現段階で策定することは難しいものと認識しております。
 しかし、原子力発電所の割合を減らし、再生可能エネルギーの普及を促進していくことは、国民のコンセンサスと考えており、県としては、再生可能エネルギーの導入の促進について、今後とも積極的に取り組んでまいります。

質問/遊佐美由紀
2-(2) 地域主導型のエネルギー戦略について
 長野県では、自然エネルギー推進のための協議会を各地域に設置し、市民と企業、行政が協働する体制を構築して様々なプロジェクトを推進している。本県でも、地域の風土に合った再生可能エネルギーを掘り起こし、長野県と同様の協議会を設置し、協働体制を構築すべきと思うがどうか。
回答/環境生活部長
 大網2点目、地域主導型エネルギー戦略についての御質問のうち、次に、長野県と同様の地域協議会を設置し、協働体制を構築すべきとの御質問にお答えいたします。
 地域が主導して、地域の特性に応じエネルギーの地産地消を進めていくことは、大変重要であると認識しております。議員ご紹介の取り組みについては、自然エネルギーの普及を地域が主体的に進めていく、非常に参考となる事例であり、その背景には、地域での成功例の積み重ねや核となるキーパーソンの存在が大きな要因となって、全県への取り組みに至っていると伺っております。
 我が県の場合、まずは、個別の地域の動きを重点的に支援し、成功事例を積み重ねていく必要があるものと考えております。一例を申し上げますと、東松島市では、環境未来都市構想の一環として官民協働の地域協議会が立ちあがる動きもあります。こうした地域の取り組みを支援していき、将来的には、全県へとつなげていきたいと思います。

質問/遊佐美由紀
2-(2)
 地元が売電収入を得るためには、再生可能エネルギー設備を地元資本により整備することが必要であり、地元資本を集めるための地域金融の仕組みが重要になる。県が主体となって地域金融を育成する取組を行うべきと思うがどうか。
回答/環境生活部長
 次に、再生可能エネルギー設備を地元資本が整備できるよう、県が主体的に地域金融を育成すべきとの御質問にお答えいたします。
 再生可能エネルギー発電事業において、売電収入を地域に還流し、経済を活性化させるためには、地元資本の参画による事業実施が効果的であると認識しております。しかし、事業実施に当たっては、初期投資のために資金調達が、参入時の課題の一つであり、地域の金融機関の役割が重要となります。
 県内でも既に、地域の企業や信用金庫が主体となって、再生可能エネルギーの普及に向けた、金融・技術支援を行う会社が設立されておりますし、地元銀行による、発電事業に関するセミナーの開催や融資相談などの動きが出てきております。県では、このような民間の動きを後押しすることにより、地元資本による発電への取組を促進してまいります。

質問/遊佐美由紀
2-(2)
 復興まちづくりにおける建築物への活用義務付けや地域熱供給システムの導入など、バイオマス熱、太陽熱、地中熱等の熱エネルギーを含めた再生可能エネルギーの有効利用を県が率先して進めるべきと思うがどうか。
回答/環境生活部長
 次に、熱を含めた再生可能エネルギーの有効活用を県が率先して進めるべきとの御質問にお答えいたします。
 再生可能エネルギーにおける熱の有効利用は、エネルギー削減効果が高く、エネルギー問題の解決に向け、重要な方法であると認識しております。県の震災復興計画においても、再生可能エネルギーを活用したエコタウンの形成に向け、熱を含めたクリーンエネルギーの利用について盛り込んでいるところです。
 県では、バイオマス熱や太陽熱、地中熱も対象とした、事業所における新エネルギー設備導入に対する補助事業を実施しており、この事業を活用した農業施設への太陽熱利用設備も導入事例もございます。
 今後も、熱を含めた再生可能エネルギーの有効利用を図り、復興のまちづくりの中でも生かしてまいります。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
(3) 現行の宮城県自然エネルギー等、省エネルギー促進条例について、地域資源を最大限に活用した地域主導型の再生可能エネルギー戦略を促進する趣旨の条例に見直すべきと思うがどうか。
回答/環境生活部長
 次に、現行の条例について、地域主導型の再生可能エネルギー戦略を促進する条例に見直すべきとの御質問にお答えいたします。
 現行の宮城県自然エネルギー等・省エネルギー促進条例は、地域の自発的かつ積極的な取り組みを促す他県に例のない先進的なものであり、制定から10年経つ現在でも、目指すべき基本的な方向性は大きく変化しているものではないと認識しております。
 一方、国においては、今回の震災や原発事故を踏まえ、ゼロベースでエネルギー基本計画を策定する予定でおり、その内容によっては、見直しをしなければならないことも想定されます。この場合でも、本条例は議員提案による条例でありますことから、県議会と執行部が一体となって、見直しの議論を深めていく必要があると考えております。

質問/遊佐美由紀
2-(4) 放射能による子どもの健康調査について
 福島県の健康調査では、一人の子どもに甲状腺がんの発症が確認されたほか、甲状腺に結節や嚢胞がある子どもが43.7%との結果が出たが、このことについて所感はどうか。
回答/保健福祉部長
 次に、福島県の健康調査の結果をどのように受け止めているかとの御質問にお答えいたします。
 福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会において、検査機関の教授は「甲状腺がんはチェルノブイリ原発事故の例からも被ばくから最短でも4、5年後に発症するものである」として、今回の事故との因果関係を否定しております。
 また、今回公表された結節・嚢胞の頻度には1ミリ、2ミリのものも含まれており、そのうち二次検査が必要な子どもは0.6%と聞いております。甲状腺の結節・嚢胞はしばしば認められる状態であり、小児の超音波検査でも一定頻度認められていると伺っております。
 県といたしましては、今後とも福島県における調査結果を注視してまいります。

質問/遊佐美由紀
2-(4)
 福島原発事故の影響に関する様々なデータが日々失われている。先の6月定例会で採択された請願に係る「子どもと妊産婦の健康調査」を早期に開始すべきと思うがどうか。
回答/保健福祉部長
 大網2点目、原発のない社会を目指す「エネルギー政策」についての御質問のうち、子どもと妊産婦の健康調査の実施についてのお尋ねにお答えいたします。
 今般成立いたしました、いわゆる「原子力事故による子ども・被災者支援法」では、被ばく放射線量の測定や健康調査、医療費助成等の支援対象となる地域が定められ、国の責任におきまして、子どもに特に配慮した所要の施策が講じられることとなっており、現在、復興庁において、支援対象地域の選定を含む基本方針を策定中とのことであり、一刻も早く各種支援策を講じていただきたいと考えております。
 また、平成25年度予算概算要求におきましては、基本方針に伴う予算に関して事項要求されているところでございまして、県といたしまいては、今後の動向を注視し、具体的な施策内容が示され次第、適切に対処してまいります。

質問/遊佐美由紀
3 行政改革の取り組みにおける住宅供給公社について
 以下3点について知事の所見を伺いたい。
(1) 県住宅供給公社は分譲事業を廃止し、賃貸住宅管理事業を中心とした形での経営再建を目指すとしているが、多額の財政負担を生じさせた県の責任は重い。改めて公社債務の損失補償に至った原因は何か。また、県に多額の財政負担が生じたことをどう受け止めているのか。
回答/保健福祉部長
 次に、大網3点目、行政改革の取り組みにおける住宅供給公社についての御質問にお答えいたします。
 初めに、多額の財政負担発生の認識についてのお尋ねにお答えいたします。宮城県住宅供給公社は、昭和41年の設立以来、良質で低廉な住宅・宅地を供給し、県民生活の安定と社会福祉の増進に一定の役割を果たしてまいりました。しかしながら、公社は長年にわたる地価下落や分譲事業の不振等により経営が悪化し、この4月には債務整理と経営再建を目的とした特定調停を申し立てたものであります。
 県は、利害関係人として調停に参加し、県議会の県出資団体等調査特別委員会からの御提言も踏まえながら、公社のもつ公共性・公益性や震災以降に生じた状況変化なども含め、慎重に検討協議を重ねてまいりました。その結果、去る7月17日には仙台簡易裁判所から調停案が提示され、金融機関による債務の一部免除など、関係者の意向を基にした調停案の受諾と損失補償の実行について、今議会にお諮りしたものであります。
 今後、公社は分譲事業を廃止し、公的賃貸住宅管理事業を中心に経営再建を目指しますが、県に多額の財政負担が生じることにつきましては、大変重く受け止めており、公社が経営再建を着実に達成し、その社会的役割を果たすよう、さらに厳しく公社の経営指導に当たってまいります。

質問/遊佐美由紀
3 (2) 公社の再建計画では、平成28年度に県職員退職者を1人から3人に増やすこと、新たな事業部門として災害公営住宅の管理を行うことを明記しているが、具体的な事業計画の内容が不明で改革の方向性が見えない。県は今後、公社の経営をどう指導していくのか。
回答/保健福祉部長
 次に、公社への経営指導等についての御質問にお答えいたします。
 住宅供給公社は、今回の特定調停により債務処理を行った後、残資産の分譲を完了した時点で分譲事業を廃止し、賃貸住宅管理を中心とした事業を運営することとしております。
 また、今後整備される災害公営住宅についても、公的賃貸住宅管理のノウハウや人材などの経営資源を最大限に生かし、災害からの復興に向けて、その役割を果たしていくこととしております。災害公営住宅の管理については、今後建設の進捗状況を見ながら、整備主体である市町の意向を踏まえ、具体的な事業計画を検討することになるものと認識しております。
 また、再建計画においける県職員退職者の増員につきましては、分譲事業の廃止に向け、正職員を減らしながら、事業規模に合わせた適正な人員体制を確保するため、一時的に県退職者を活用するものであります。
 なお、再建計画期間中は、毎年度決算時期に再建計画と決算書を比較検証し、計画目標の達成状況を取りまとめ、県への提出を義務付けるとともに、その結果を逐次公表するなど、公社の経営再建が着実に達成されるよう、県といたしましても、より一層厳しく指導監督に当たってまいります。

質問/遊佐美由紀
3 (3) 事務事業の見直し等について、県民の参画・検討が可能な透明性のある仕組みを創設した上で、事業仕分けの導入により事業の必要性を検証し、外郭団体の整理統合等の行財政改革を更に促進すべきと思うがどうか。
回答/保健福祉部長
 次に、事業仕分けの導入により事業の必要性を検討し、外郭団体の整理統合等の行財政改革を更に促進すべきとの御質問にお答えします。
 県では、平成19年度に学識経験者や公募による委員などの参画による事務事業の点検を行い、これを基に平成20年度に事業棚卸しを行うなど、これまでも徹底した事務事業の見直しを行ってまいりました。また、公社等外郭団体につきましても、公認会計士などで構成する宮城県公社等外郭団体経営評価委員会の意見を踏まえ、団体の役割や今後のあり方などについての検証及び経営の健全化を進めてまいりました。
 このような中、東日本大震災が発生し、震災からの復旧・復興が県政の最大の課題となりましたことから、昨年11月に「震災復興に向けた新たな行政運営の方針」を策定し、県庁を挙げて震災復興を最優先に取り組んでおります。今後とも、震災からの復興にシフトした行政運営を効率的・効果的に推進するため、一般公募による委員にも参画をいただいている宮城県行政経営推進委員会の意見も踏まえながら、行政改革を推し進めてまいります。私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
4 いじめ等に対応する取り組みについて
 以下4点について教育長の所見を伺いたい。
(1)いじめ問題への支援に当たっては、従来の学校だけで行われていた取組ではなく、地域全体による社会的支援システムの構築が必要と思う。いじめ問題に対応する第三者機関の早急な設置が望まれるが所見はどうか。また、第三者機関の委員には、家族の視点にたって対応できる専門家を登用すべきと思うがどうか。
回答/教育長
 大網4点目、いじめ等に対応する取り組みについての御質問のうち、いじめ問題に対応する第三者機関についてのお尋ねにお答えいたします。
 県教育委員会では、先般、いじめ問題の解決を目指し、必要に』応じて警察や地域の協力を得ながら、早期対応を図っていくことについて、市町村教育委員会等と認識を共有したところであります。しかしながら、それでもなお、解決が困難な事案が発生することも想定されますことから、それに備えて第三者機関を設置することについては、有効な手立てであると認識しております。その場合に、家族の視点でのアプローチができる専門家などを活用することについては、様々な視点から解決方策を見いだすためにも、意義あるものと考えております。
 今後、いじめ問題を解決するための第三者による支援に関しまして、国の動向を踏まえ市町村教育委員会等と連携を図りながら、検討を進めてまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
4 (2) いじめには家族の問題を抱えている事例が多いと聞く。学校と保護者・家族、地域が協働して取り組める専門家として、臨床心理士や家庭相談士、家族心理士を教育現場に配置すべきと思うがどうか。
回答/教育長
 次に、いじめ問題に対応するために、学校と保護者等が協働して取り組める専門家を配置してはどうかという御質問にお答えいたします。
 健教育委員会では、いじめ等の問題を抱える子どもたちや保護者等の相談に対応するため、県内全ての小中高等学校に臨床心理士などの専門家をスクールカウンセラーとして配置しておりほか、13の市町に精神保健福祉士などの専門家をスクールソーシャルワーカーとして配置しております。
 子どもの抱える問題には、家庭環境等がその要因となっているものが多いことから、相談に当たっては、家族の在り方などを含めたカウンセリングを行うとともに、地域の関係機関と連携を図ることで、いじめ等の問題の解決に高い成果を上げております。
 今後とも、臨床心理士会等の協力を得ながら、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充を図ってまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
4 (3) 子どもを権利侵害から救済するためには、川崎市の人権オンブズパーソンのように子ども自身が相談でき、責任を持って課題を調整・解決してくれる人や場所が必要だ。本県でも、職場のハラスメント対策と同様、いじめに対応するシステムを構築すべきと思うがどうか。
回答/教育長
 次に、いじめ問題に対応する子どもオンブズマン制度導入についての御質問にお答えいたします。
 いじめ問題については、学校内では発見しにくい特性があるため、学校外にも相談できる体制が必要であると認識しております。県教育委員会といたしましては、子どもたちがいつでも安心して相談できるシステムとして「24時間いじめ相談ダイヤル」をはじめ20箇所以上の電話相談窓口を設置しております。
 また、県内全ての小中高等学校にスクールカウンセラー等を配置し、身近なところで子どもたちの相談に応じることができるようにしております。これらの相談については、内容に応じて、市町村教育委員会等と情報を共有し、すべての学校に設置しているいじめ問題対策委員会で取り上げるなど、組織的に対応することとしております。
 今後は、相談窓口を掲載したカードを配布するなど、一層の周知に努めるとともに、スクールカウンセラー等の配置の拡充を図り、子どもたちにとって相談しやすい環境を整えることとあわせて更なる問題解決に向けて新たな制度の導入を含め、ご提案のあった対応をしてまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
4 (4) 35人以下学級の推進や教職員の増配置など、児童生徒の一人ひとりに目が行き届く教育環境の整備が必要と思うがどうか。
回答/教育長
 次に、35人以下学級の推進等についての御質問にお答えいたします。
 学校における様々な課題に対応するためには、一人一人の子どもと向き合う体制づくりが何より重要であると認識しております。そのため、県教育委員会といたしましては、小学校2年生及び中学校1年生において学級編成弾力化事業を実施するとともに、きめ細やかな対応が可能な教職員の加配措置や35人以下学級の対象学年の拡大について国に対し要望してきたところであります。
 今回、文部科学省では、今後5年間で中学校3年生までの35人以下学級を実現する方向性を示していることから、今後の国の動向について注視してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

質問/遊佐美由紀
5 (2) 応急仮設住宅のサポートセンターと同様に、日常生活上の支援が必要な人でも自立した生活が継続できる「ライフサポートセンター制度」を早急に創設すべきと思うがどうか。
回答/保健福祉部長
 次に、大網5点目、災害公営住宅の宮城モデルの提言についての御質問のうち、応急仮設住宅のサポートセンターと同様の「ライフサポートセンター制度」を創設してはどうかとのお尋ねにお答えいたします。
 災害公営住宅には、住宅の再建が困難な多くの高齢者の入居が見込まれ、一人暮らしや要介護認定を受けているなど、日常生活を送る上で支援が必要な方々を支える体制づくりが求められております。そのためには、現在、応急仮設住宅に設置しておりサポートセンターの機能を継承し、効果的に活用していく仕組みが有効であると考えており、県といたしましては、市町において専門職による相談や生活支援員の配置など、地域の実情に応じた支援の仕組みが整備され、効果的に運用されるよう、人材育成や情報提供など必要な支援に努めてまいります。
 また、国に対しては、必要な財政支援の継続を要望してまいります。

質問/遊佐美由紀
5 (3) 将来、要介護状態になっても極力、住居を移転せずに住み続けられるよう、介護・福祉サービスの提供に対応できるスペース等を考慮して災害公営住宅を整備すべきと思うがどうか。
回答/土木部長
 次に、将来、要介護状態になっても住み続けられるよう、災害公営住宅を整備すべきとのお尋ねにお答えいたします。
 被災地域は高齢化が進んでおり、災害公営住宅の整備にあたっては、将来、入居者が要介護状態になった場合でも、安心して住み続けられるような、あらかじめ十分な検討・配慮が必要なものと認識しております。
 こうしたことから、ガイドラインでは、デイサービス施設及びグループホームなどの高齢者生活;支援施設との一体的な整備や一部スペースをこれらの施設に転用が可能となるような災害公営住宅の整備を進めることとしております。
 県といたしましては、こうした入居者の高齢化に配慮した取組が広がって行くよう、関係市町や民間事業者と引き続き連携を図り、高齢者が安心して地域で住み続けられる災害公営住宅の整備を進めてまいります。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
5 (4) 入居者同士や周辺住民との間での良好なコミュニケーション形成を支援し、地域で支えあう仕組みを創出するための人材育成と努力向上システムを整備すべきと思うがどうか。未だ、住民の相互扶助の促進やボランティアの効果的な活動環境づくりを支援すべきと思うがどうか。
回答/保健福祉部長
 次に、災害公営住宅における住民のコミュニティ形成への支援についての御質問にお答えいたします。
 県が平成23年3月に策定いたしました宮城県地域福祉支援計画では、コミュニティ・ソーシャルワークの視点を持った人材の育成に努めることとしており、市町村に対しましても地域福祉計画の策定を働きかけているところであります。
 コミュニティ・ソーシャルワークを担う人材は、今後、災害公営住宅での地域住民による支え合い体制の構築にも重要な役割を果たすことが期待されておりますことから、関係機関、ボランティア・NPO等との連携を図りながら、その人材の確保と育成に努めてまいります。
 また、住民主体によります支え合いやボランティア活動への支援につきましては、地域の社会福祉協議会が重要な役割を担っておりますので、今後とも、その機能を充実するよう支援してまいります。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
6 災害公営住宅の宮城もモデルの提言
 以下4点について知事の所見を伺いたい。
(1) 災害公営住宅の整備に当たっては、「高齢者の住宅を考える宮城の会」が提言する9項目の提案を生かした「みやぎモデル」として、被災者が安心して暮らせる住環境にすべきと思うがどうか。
回答/土木部長
 次に、大網5点目、災害公営住宅の宮城モデルの提言についての御質問のうち、被災者が安心して暮らせる住環境にすべきとのお尋ねにお答えいたします。
 災害公営住宅の整備にあたっては、少子高齢化社会に対応した住まいづくりへの取り組みや、地域コミュニティの維持を図るための取り組みが重要であると認識しており、今年7月に「宮城県災害公営住宅整備指針<ガイドライン>」を策定し、ライフサポートアドバイザーを配置したシルバーハウジングやコレクティブハウジングの導入、多様な世帯の交流や地域イベント活動にも利用できる集会所や小公園の整備等の取り組みを進めております。県といたしましては、御提言の趣旨を踏まえ、各市町の住宅部門と福祉部門、更には民間事業者との連携を図りながら、被災された方々が安心して暮らせる住環境の整備に積極的に取り組んでまいります。