改革みやぎ・県議会報告

2011年2月
~平成23年2月 第330回宮城県議会定例会一般質問から~

1 県民のニーズに対応する県政運営と行財政改革について

質問/遊佐美由紀
(1) 県出資団体等調査特別委員会では、林業公社、道路公社、住宅供給公社の廃止を提言することとしているが、その中で示された理由をどう受け止めているか。また、債務調整などを金融機関と議論し、期限を決めてこれら3団体を廃止すべきと思うがどうか。
回答/知事
 ゆさみゆき議員の一般質問にお答えします。
 大綱3点ございました。
 まず、大綱1点目、県民のニーズに対応する県政運営と行財政改革についての御質問にお答えします。
 初めに、県出資団体等調査特別委員会の提言内容についてどうかとのお尋ねにお答えいたします。
 県出資団体等調査特別委員会におかれましては、林業公社、道路公社、住宅供給公社を含む6つの団体を調査対象とし、対象6団体に出向いての調査や代表者を招いての意見聴取、学識経験者の参考人召致等を経て、各団体の改革の方向性について報告案をまとめられたものと承知しております。
 また、県出資団体等調査特別委員会委員長から議長への報告は、今議会中になされる予定と聞いており、執行部へもその時点で報告書が配布されるものと存じております。
 県といたしましては、報告書をいただきましたならば、報告書の内容は真摯に受け止め、各団体の今後の在り方を検討する際に参考にさせていただき、できるだけ尊重してまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
(2) 環境事業公社「小鶴沢処理場」での処理済み排水の不適切な散布の問題や施設補修工事が終わらないまま契約解除し工事費を業者に支出した問題に対しどう対応するのか。
回答/環境生活部長
 大綱1点目、県民のニーズに対応する県政運営と行財政改革についての御質問のうち、宮城県環境事業公社についてのお尋ねにお答えいたします。
 今般、公社が小鶴沢処理場の敷地内に処理水を散布した事実が明らかになったところです。こうした行為は、すべての最終処分場の模範たるべき公社として許されざる行為であり、2月21日に公社に対し、厳重に注意したところであります。
 また、好気ラグーン遮水シートの補修工事については、工事目的が達成されないにも関わらず、契約の解除を行い、請負代金を一部減額の上、2月3日に支払したことが判明いたしました。
 去る2月17日の理事会において、補修工事の予算に係る議案の提出がありましたが、公社の管理監督が不十分であったことなどにより、議案は不承認となりました。
 今後、このようなことが生じないよう原因を究明と関係者の責任の明確化を強く求めるとともに、できるだけ早期に遮水シートの工事が完成するよう鋭意指導してまいります。

質問/遊佐美由紀
(3) 今議会に提案されている知事等及び職員の給与の特例条例では、平成23年4月から平成 25年3月まで、給料の削減率を現行より知事で6%、副知事等で5%縮小し、管理職手当の削減率を部長・理事で5%縮小するが、景気対策が必要なこの時期になぜ給与の特例条例を提案するのか。また、この条例による予算への影響額はどうか。
回答/環境生活部長
 次に、特例条例の提案理由及びその影響額についての御質問にお答えいたします。
 現在行っている給与削減措置は、財政再生団体への転落を回避し、財政危機を乗り越えるため、財政上まことにやむを得ないものとして、平成21年4月から平成23年3月までの期間を限定して、知事等の給料並びに一般職の給料及び管理職手当について、特例条例により削減しているものであり。この条例は今年の3月をもって効力を失うことになります。
 しかしながら、今後とも更なる財源対策の検討・実施を強力に推進する必要があることから、知事等の特別職及び管理職が率先して財政運営に協力していくこととし、今後2年間、給与を削減するための新たな特例条例の制定を提案したところであります。
 なお、新たな特例条例による削減影響額は、2年間で約1億1,100万円を見込んでおります。

質問/遊佐美由紀
(4) 最近の統計で県民の平均給与はいくらか。また、今回対象となる特別職と管理職の年収はそれぞれいくらか。さらに、県民とともに厳しい時期を乗り切るために、特別職と部長等は現行のまま削減すべきと思うがどうか。
回答/総務部長
 大綱1点目、県民のニーズに対応する県政運営と行財政改革についての御質問のうち、県民の平均給与及び特別職等の年収についてのお尋ねにお答えいたします。
 県民の平均給与に関する統計結果については、厚生労働省の毎月勤労統計調査等いくつかの数値が公表されておりますが、その中で人事委員会における平成22年職種別民間給与実態調査の結果によれば、県の一般行政職と比較される県内の民間事業所従業員の平均給与月額は約39万円であります。
 また、本県の特別職等の年収については、平成22年度で、知事が約2,000万円、副知事が約1,600万円、公営企業管理者が約1,400万円、常勤監査委員が約1,100万円、教育長が約1,400万円、平均的な部長級職員で約1,100万円、課長級職員で約870万円となっております。
 次に、特別職等は現行の給与削減率を継続すべきとの御質問にお答えいたします。
 現在の給与削減措置については、財政上まことにやむを得ないものとして、期間を2年間に限定した上で、非常に厳しい内容で削減を実施しているものであります。
 現行の特例条例終了後におきましても、今後の県の財政運営に特別職及び管理職が率先して協力していくものとして、さらに2年間新たな内容で削減を継続することとしたものであります。

質問/遊佐美由紀
(5) 再任用職員の報酬は週3日、年間156日勤務で220万円となり、日給に換算すると11,935円、時給に換算すると1,540円であるが、再任用職員と非常勤職員等との業務の違いは何か。
回答/総務部長
 次に、再任用職員と非常勤職員等との業務の違いについての御質問にお答えいたします。
 高年者の雇用については、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」により事業主に対して継続雇用制度の導入等の措置を講じることが義務付けられております。
 県においては、この法律に基づき、定年退職者を再任用しており、一般職員が従事している業務と同様の業務に従事しております。
 一方、非常勤職員等については、消費生活相談員、女性相談員など特定人の専門的知識や経験などを発揮してもらうことが県行政にとって有効である限られた範囲の特定の業務、臨時的、補助的な業務に従事するものであります。

質問/遊佐美由紀
(6) 再任用希望者全員を雇用すると聞くが、これまでの再任用職員と非常勤職員それぞれの人件費と人数の推移と、今後5年間の再任用の希望者と需要の見通しについてどうか。また、今後の再任用希望者の増加で非常勤職員の減少が予想されるが、どの程度になるのか。
回答/総務部長
 次に、再任用職員と非常勤職員のこれまでの推移と今後の見通しについての御質問にお答えいたします。
 再任用職員の推移については、平成20年度が54人で人件費の概算は1億2,500万円であったものが、平成22年度には、137人で人件費は2億9,800万円程度になる見込みです。
 また、週に4日程度勤務し月額で報酬を受ける非常勤職員については、平成20年度が246人、平成22年度が245人で、人件費はともに4億4,000万円程度の見込みです。
 さらに、今後の見通しについて、現行の再任用制度を継続したと仮定した場合、5年後の平成27年度の再任用者数は約300人で、人件費は6億5,800万円程度になるものと見込んでおります。
 なお、再任用職員が行う業務と非常勤職員が行う業務とでは、その性質や内容が異なることから、再任用職員の増減が非常勤職員の数に影響を与えるようなことはないと考えております。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
(7) 本県では、小児科、児童精神科、精神科の医師が不足しており、東北大医学部との連携による地域医療の充実が期待される。こうした状況の下、仙台市内の大学での医学部新設の動きがあるが、このことをどう受け止め、どんな対応を考えているか。
回答/知事
 次に、仙台市内の大学に医学部を新設する動きについての御質問にお答えいたします。
 県といたしましては、医師の不足や偏在は大きな課題であり、県内に医学部が新設されることにより、医師の供給や定着が進むことになるのであれば、大変望ましいことと考えております。
 医学部の新設につきましては、国の方針として当面凍結されているところでありますが、現在、文部科学省が、専門家から成る検討会を設け、今後の医学部定員の在り方を検討しております。まずは国の議論の動向を注視しながら、医師不足解消に向け、県として、医学部新設にどのような関わり方ができるか検討してまいります。

2 DV、性犯罪を根絶するための取り組みについて

質問/遊佐美由紀
(1) 昨年2月の石巻での3人殺傷事件について、少女が警察に何度も相談していたことなどを受けて昨年4月の文教警察委員会に検証結果が提出され、「地検などとも協議した上で被害届なしで強制捜査に移行する方途の検討も必要である」との見解が示されている。その後、この事件のような犯罪被害の未然防止策や検証結果を踏まえた対応についてどうか。
回答/知事
 次に、大綱2点目、「DV、性犯罪を根絶するための取り組み」についての御質問にお答えします。
 初めに、「犯罪被害の未然防止策」についてのお尋ねにお答えいたします。
 昨年2月、石巻市清水町において発生しましたDVに起因する殺傷事件におきまして、お二人の尊い命が犠牲になり、お一人の方が重傷を負われたところであり、私自身、大変ショックを受けたところであります。
 このような状況の下、県といたしましては、犯罪被害の未然防止に対応するため、新年度の組織改編におきまして、環境生活部共同参画社会推進課内に「安全・安心まちづくり推進チーム」を新設するほか、保健福祉部子育て支援課内の「子ども・家庭支援班」を分割し、要保護児童対策を担当する「子ども育成班」を設置することとしております。また、平成23年度当初予算案におきましては、ストーカーやDVに対する相談対応を強化するため、警察本部に専門的な知識を有するアドバイザー2名の配置を盛り込んだところであります。

回答/警察本部長
 大綱2点目、「DV、性犯罪を根絶するための取り組み」についての御質問のうち、「検証結果を踏まえての対応」についてのお尋ねにお答えいたします。
 DV事案等男女間のトラブル事案には、状況が急展開して重大事件に発展するものも少なくない実態にありますことから、県警察におきましては、石巻市清水町における殺人事件発生後、
  • 被害者に対する更に一歩踏み込んだ説得、勧奨など、相談において採り得る万全の措置
  • 違法行為を認知した場合における被疑者の所在確認と身柄の確保、事件化等の措置
を徹底しているところであります。
 この結果、平成22年度におけるDVの相談受理件数は1,348件と、前年対比プラス505件、59.9パーセントの増となりましたが、254件について警察署長による住民基本台帳閲覧制限の支援、位置情報通報装置の貸与等の援助を行うなど、相談内容に応じた的確な措置がとられているほか、DV関連の検挙件数も73件で、前年対比プラス43件、143.3パーセントの増となるなど、違法行為認知時における事件化の措置も的確にとられていると認識しております。
 また、関係機関との連携につきましても、宮城県女性相談センターと協働して、連れ去り対応訓練や個別の会議を行うなど、保護対策の万全を期していうところであります。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
(2) さくらハイツの現在の指定管理では人件費削減が余儀なくされていると聞く。児童数も多く、母子ともに複雑なPTSDの症状が見られるさくらハイツでは支援の質の向上も求められるが、さくらハイツやコスモスハウスの業務内容には専門的な心のケアは含まれていない。今後の指定管理の際には専門職配置や職員増員など業務内容の見直しを検討すべきと思うがどうか。
回答/知事
 次に、母子生活支援施設さくらハイツ及び婦人保護施設コスモハウスにおける業務内容の見直しについての御質問にお答えいたします。
 指定管理者の募集に当たっては、応募要領や仕様書において業務内容や業務従事者の配置を示しているところであります。
 まず、婦人保護施設コスモハウスについては、来年度から新たに心理担当職員を配置し、心理的ケアを行うこととしております。
 また、母子生活支援施設さくらハイツについては、特段、業務内容等に明示してはおりませんが、心理担当職員の配置について指定管理料に含め合算しており、現状においても、心理担当職員が入所者に対し心理的ケアを行っているところであります。
 県といたしましては、DV被害者や被虐待児童に対する支援の重要性は認識しているところであり、今後とも専門職を含めた職員の適切な配置について検討してまいります。

質問/遊佐美由紀
(3) DV、性犯罪者の再犯を防ぐためのGPS等の検討について多くの議論が出ているが、これまでの経過と今後の方針についてどうか。
回答/知事
 次に、DVや性犯罪者の再犯を防ぐための検討についての御質問にお答えいたします。
 女性と子どもに対する暴力的行為の根絶対策については、昨年5月に、関係部局に問題解決のための対策の検討を指示し、11月には、私と副知事、総務部長、環境生活部長、保健福祉部長及び警察本部長からなる「推進本部」を設置いたしました。12月には、学識経験者などから御意見を聴くための「懇談会」を設置したところでございます。
 懇談会はこれまで2回開催し、女性と子どもに対する暴力的行為の現状や課題、「GPS装置による所在確認制度」などの根絶のための規制案について、御意見を頂いております。
 こうした県の考えや取組については、県民の皆様などから、「知事への提案」や電子メール、電話などにより、多くの様々な御意見が寄せられているところであります。
 今後、3回目の懇談会を3月末に開催することとしており、懇談会で出された御意見や、県民の皆様などから寄せられている御意見などを十分に考慮しながら、女性と子どもに対する暴力的行為の根絶に向けた施策の指針となる大綱をとりまとめていきたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
(4) GPS導入による再犯率の抑制や未然防止での被害者減少について、効果の試算はどうか。また、GPS導入で新たに必要となる警察官はどのくらいか。さらに、これらの総予算はどうか。
回答/知事
 次に、GPS導入による効果等についての御質問にお答えいたします。
 「GPS装置による所在確認制度」については、女性と子どもに対する暴力的行為根絶対策案の一つとして、第2回懇談会において御提示したところでございます。
 GPS装置による所在確認制度の導入は、対象者の自覚と注意を促すことによる、再犯に対する心理的な抑制効果、また、性犯罪やDVの被害者が安心して生活を送るための効果も期待できると考えております。
 今後、懇談会において出された御意見や県民の皆様方などから寄せられた御意見を十分に考慮しながら、導入の可否について検討を進めてまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
(5) DV、性犯罪の根絶のため、GPS導入を検討する前に、被害者の自立支援、加害者の更生プログラムを整備し、警察等の相談や対応の体制を充実すべきと考えるがどうか。
回答/環境生活部長
 次に、大綱2点目、DV、性犯罪を根絶するための取組についての御質問のうち、被害者の自立支援及び加害者更生プログラムの整備等についてのお尋ねにお答えいたします。
 被害者に対する支援や加害者の更生に関する取組は、DVや性犯罪の根絶を図る上で、大変重要であると考えております。
 現在、被害者に対する支援については、性犯罪相談電話の設置や一時保護などに取り組んでいるところでありますが、平成23年度には、新たにDVやストーカーに関するアドバイザーの設置などを実施することとしております。
 加害者の更生については、平成18年度から、性犯罪者自らが性犯罪を抑止する力を身につけさせることを目的とする「性犯罪者処遇プログラム」が刑務所と保護観察所で行われておりますが、今般、暴力的行為根絶対策案の一つとして、地域行動支援委員会を設置し、地域全体で出所者の更生に関わる「地域行動支援システム」を、女性と子どもの安心・安全社会づくり懇談会に提示したところでございます。
 今回の根絶対策は、規制のあり方の検討に限らず、配偶者からの暴力防止のための対応の強化や、暴力的行為根絶のため県民運動の展開などを含め、総合的に取りまとめることとしております。
 その中において、被害者の自立支援についても検討してまいりたいと考えております。

3 地域で支え合う新しい公共について

質問/遊佐美由紀
(1) 新しい公共では、NPO等が自ら資金調達し自立的に活動することが可能になる環境整備を構築するとしているが、地域全体で子育て支援するために民間団体から提案されている「こどもファンド」の実現に向け県も支援すべきと思うがどうか。
回答/環境生活部長
 次に、大綱3点目、地域で支え合う新しい公共についての御質問のうち、「こどもファンド」の実現に向け支援すべきと思うがどうかとのお尋ねにお答えいたします。
 新しい公共の推進については、その担い手となるNPO等の自立的な活動を後押しするため、国の交付金を財源として、県に基金を造成し、来年度から2年間にわたり、新しい公共支援事業を実施することとしております。
 この事業においては、NPO等の財政基盤の強化のため「寄附募集支援事業」などを実施することとしており、これらの事業を活用しながら、NPO等が自ら資金調達できる環境の整備を図ってまいります。
 また、県では、安心して子どもを生み育てることができる地域社会の実現を目指し、地域全体で子育てを支援する機運を醸成するため、今年から「みやぎっこ応援隊“すくすくエールズ”」の活動を中心とする「子育て支援を進める県民運動」を開始いたしました。
 今回、民間団体からは、「みやぎっこ応援隊」に参加の上、「こどもファンド」の立ち上げを含め、新たなNPO活動を推進していきたいとの御提案をいただいておりますので、県といたしましては、今後、応援隊の活動に対する会員同士のネットワークの構築や、会員の活動をホームページでPRするなどの側面的な支援を行ってまいります。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
(2) 寄附税制の優遇措置の対象となる認定NPO法人の要件緩和など、県における認定を実現するための条例の検討を提案するがどうか。
回答/環境生活部長
 次に、大綱3点目、地域で支え合う新しい公共についての御質問のうち、認定NPO法人の要件緩和など、県における認定を実現するための条例についてのお尋ねにお答えいたします。
 認定NPO法人制度については、運営組織や事業活動が適正で、公益の増進に資する団体として、国税庁長官から認定を受けたNPO法人に対寄付金がなされた場合、寄付金について、税制上の優遇措置が講じられるというものでございます。
 現在、国においては、認定事業を知事や政令指定都市の市長に移管するための検討が行われており、全国知事会などとの協議が進められております。  認定事業が地方に移管された後、知事の裁量で認定要件を緩和することが可能かどうかは、現時点では不明であります。
 今後とも、国の制度見直しの動向を注視してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。