改革みやぎ・県議会報告

2010年2月
~平成22年2月 第326回宮城県議会定例会一般質問から~

1 村井知事の二期目の政治姿勢と県政運営について

質問/遊佐美由紀
(1) 知事は、地球温暖化等の課題に対応し、環境の保全や創造の施策を展開する財源として、みやぎ環境税の導入を決意し、県税条例の改正を今定例会に提案した。県民に年間1,200円の負担を求めるものだが、その具体的な使途はどうか。また、税収不足を理由とするなら、税金の無駄使いにならないよう、対象事業について、事業仕分け等の徹底したの検証が必要と思うがどうか。
回答/知事
 ゆさみゆき議員の一般質問にお答えします。大綱5点ございました。まず、大綱1点目、私の政治姿勢と県政運営についてのご質問にお答えします。
 初めに。「みやぎ環境税」の使途と充当事業検証の必要性についてのお尋ねにお答いたします。
 県民・企業の皆様からいただく貴重な「みやぎ環境税」の使途については、待ったなしの対応が求められている地球温暖化問題の解決に向け、二酸化炭素吸収機能を高めるための川上対策としての森林整備と、川下対策としての木材利用の推進、そして、排出削減対策としての太陽電池などのクリーンエネルギーの利用推進を中心にしながら、豊かな自然環境の確保や環境教育の推進などにも活用させていただきたいと考えております。
 緊急性・必要性の高いこれらの事業は、財政状況から事業化が困難であったものでありますが、超過課税でいただく貴重な財源を十分に活用できるように、市町村など関係者のご意見をいただきながら、平成23年度の予算化に向けて事業を具体化してまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
(2) これまで知事は、まず方向性を定め後で議会の承認を得るトップダウン型の県政運営を行ってきたが、今後は、県民参加による県民のための県政運営への転換が求められる。国では平成23年度の環境税導入に向け検討を始めると聞くが、国と連動した対策を講じるためにも、県民との意見交換や議論が先決であり、導入は拙速だと思うがどうか。
回答/知事
 次に、県民との意見交換や議論が先決であり、税の導入は拙速ではないかとのご質問にお答えいたします。
 環境施策を推進するための財源については、平成19年3月の「宮城県税制研究会」の報告以降、議会からも様々なご意見をいただきながら、検討を重ねてまいりました。
 また、森林整備やクリーンエネルギーの利用推進などの地球温暖化対策に関する県民意識は急速に高まっており、住民説明会やパブリックコメントにおいても、その必要性をお認めいただく県民の皆様の声が、少なからず寄せられております。
 国が検討を進めている環境税については、その導入時期・使途などが未定でありますが、国が温室効果ガスの最大25%削減を掲げていることや、我が県が置かれた厳しい状況を考え、対応が遅れないよう「みやぎ環境税」を導入し、全県挙げて、地球温暖化対策を強化してまいりたいと考えておりますので、是非ともご理解いただきたいと思います。

質問/遊佐美由紀
(3) 環境税の導入の前に、県民の参画とチェックの下、オープンな形で、事業仕分けにより県事業の必要性を検証し、外郭団体の整理統合等の行財政改革を更に促進すべきと思うがどうか。
回答/知事
 次に、県民の参画とチェックの下、オープンな形で、事業仕分けにより県事業の必要性を検証し、外郭団体の整理統合等の行財政改革を更に促進すべきとのご質問にお答えいたします。
 県では、平成19年度に学識経験者や県民から公募した委員など外部者も参画いただく形でプロジェクトチームによる事務事業の点検を行い、これを基に平成20年度の事業棚卸しにより175事業を休廃止するなど徹底した見直しを既に行ってきているところです。
 また、公社等外郭団体改革につきましては、これまで外部有識者で構成する宮城県公社等外郭団体経営評価委員会の意見を踏まえ、団体の役割や存在意義などの検証を行い、平成18年度から現在まで6団体を廃止するなど、団体改革に取り組んでいるところです。

2 DV対策・石巻殺傷事件について

質問/遊佐美由紀
(1) 石巻市の男女殺傷事件に係る警察の対応について
(イ) 今回の事件をどう受け止めているか。また、被害者が二度警察に相談しており、緊急性が高かったことから、被害届を待たずに、少年に対する相談やカウンセリングなど、少年を少女から引き離す措置を考えられなかったのか。
●調査・視点
 加害少年は、保護観察中だった。少年審判として保護観察中になっている。保護観察官との連携はとれていたのか。何回か警察へ暴力被害相談をしているが、通常であれば観察期間中の暴力行為は、家庭裁判所へ通告され、場合によっては呼び出し、再審判もあったのではないか。
   警察=保護観察(保護司)=家庭裁判所
●調査・視点
 正確に情報を把握し、どのように対応したのか?
(ロ) 関係機関との連携について、どう対応したのか。
(ハ) 事件を検証し、二度と生じないよう対策を講じるべきと思うが、所見はどうか。
回答/警察本部長
 大綱2点目、「DV対策・石巻殺傷事件」についてのご質問のうち、「今回の事件をどのように受け止めているのか、少年を少女から引き離す措置は考えられなかったか」とのお尋ねにお答えいたします。
 まず始めに、今回の事件は3名の方が死傷するという悲惨な結果となり、県警察といたしましても非常に残念に思っているところであります。
 亡くなられた方についてもの冥福をお祈りするとともに、ご遺族にはお悔やみを申し上げます。
 現在、事件の真相究明に向けて捜査中でありますが、県警察といたしましては、相談等を受理した都度、その状況について詳細に聴取の上、被害者等の意向を踏まえながら、被害者の届出を促し、法律的な措置等についても説明してきたところでありますが、被害届の提出には至りませんでしたので、被害を予防するための措置として、関係機関との連携を図りながら、保護施設への避難措置を講じたほか、相手方への警告を行うなどの対応も採ってきたところであります。県警察としての対応につきましては、その時点において取るべき措置や考えられる措置というものは取られていたのではないかと思っております。
 しかしながら、今回、悲惨な事案に発展したという結果にかんがみ、さらに。何らかの取りうる措置があったのではないかという観点で、詳しく検証を行っているところであります。

 次に、「関係機関との連携状況」についてのご質問にお答えいたします。
 DV事案に対する被害者等からの相談等への対応に当たりましては、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るという観点から、配偶者からの暴力に係る通報、相談・保護や自立支援等の体制が整備され、それぞれの関係機関が連携を取り合い、適切に対応していくことが重要であると認識しているところであります。
 この度の事件に関しましては、昨年2月に関係者からの相談の踏まえまして、県や相談支援センターと連携を図り、避難させる措置を講じたところでありますが、今回の事案について検証を行う中で、関係機関との間で、個別の段階において取ってきた措置や今後考えられる取るべき措置等についても、協議、検証を行ってまいりたいと考えております。

 次に、「事件を検証しての講ずべき対策」についてのご質問にお答えいたします。
 今回の事件につきましては、現在、真相究明に向けて捜査中でありますが、県警察としましては、このような事案の再発防止を図るため、各警察署に対し、これまで取り扱った事案の検証や警察本部への確実な報告、被害者の保護のための踏み込んだ対応や、対応状況の記録化等について徹底させているところであります。
 今後の対策としましては、相談への対応の体制、相談に魁皇する際のノウハウ、警戒や避難・保護等、警察として取るべき措置に加えまして、関係機関との連携のあり方等について検証を行うことによって諸方策を見出し、このような事件の防止に向けて万全を期してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

質問/遊佐美由紀
(2) 石巻市の男女殺傷事件に係る県の対応について
(イ) 今回の事件をどう受け止めているか。また、県としてどう対策を講じるのか。
(ロ) 事件前に女性相談センターで対応しているが、心理的支援や今後の生活相談など、被害者、加害者双方への支援は十分だったのか。
(ハ) 石巻市からは、具体的ケースとして相談がなかったと聞く。市町村のDV対策について、研修や連携等の状況はどうか。また、石巻市と県保健福祉事務所の連携はどうだったのか。
●調査・視点
未成年同士の交際・出産について
児童虐待のリスク対応をどのように機能していたのか。
要保護児童対策協議会で状況把握が行われていたのか。DVとは違った児童虐待の対応からも切りこめたのではないか。
DVが確認された段階で、DV環境下にある児童は虐待児として定義されている。
●調査・視点
 児童虐待と異なることはDV被害者が大人であることを基本としており、保護に関しても強制力はなく、本人の同意を必要としている。今回の18歳の二女が同程度DVについて理解でいたかどうか。DVサイクルに入って人への介入は、かなり難しく元にもどることが多い。
回答/知事
 次に、大綱2点目、石巻市の男女殺傷事件に係る県の対応についてのご質問にお答えいたします。
 初めに、今回の事件をどう受け止めているのか、また、どう対策を講じるのか、とのお尋ねにお答えいたします。
 今回の事件は、大変痛ましい事件であり、非常に残念でなりません。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、怪我を負われた方の一刻も早い回復をお祈り申し上げます。
 さて、今回の事件の背景にあるドメスティック・バイオレンス、いわゆるDVについては、石巻警察署のほか、石巻市、宮城県女性相談センターが対応してきたところですが、今回の事件を重く受け止め、早急に関係機関相互の連携のあり方について検証を行い、今後の対策に活かしてまいります。

回答/保険福祉部長
 大綱2点目、石巻市の男女殺傷事件に係る県の対応についてのご質問のうち、女性相談センターでの支援についてのお尋ねにお答えいたします。
 女性相談センターでは、昨年2月5日から、被害者の女性を県内の入所施設において保護し。本人の強い希望により、同年2月10日に施設を退所いたしました。
 短い入所期間ではありましたが、この間、本人に対する被害状況の聞き取りや心理カウンセリングを行っております。
 対処にあたっては、本人に対し、日常生活における安全の確保や相談機関について説明を行っております。
 なお、加害者に対する更生支援は難しく、今回も特段の対応は行っておりません。

 次に、市町村へのDV対策の研修と、関係機関との連携についてのご質問にお答えいたします。
 宮城県では、市町村等関係機関との連携の強化と資質の向上を図るため、婦人保護事業関係機関ネットワーク連絡協議会や担当者研修会を開催し、DVに関する情報の共有や事例検討を行っております。
 また、必要に応じ、市町村と女性相談センターで合同の処遇会議を開催し、対応方針を検討しているほか、市町村からの要請に応じて、保健福祉事務所がDV被害者の保護施設への移送を行うなど、市町村と連携を図っております。
 県といたしましては、今後、この事件の検証を行い、関係機関相互のより一層の連携強化に努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
(3) 女性相談センターにおける支援に際しては、関係機関との連携が欠かせず、また、担当案件が増えニーズも多様化していることから、常勤の心理士や社会福祉士を配置すべきと思うがどうか。また、仙台市、県北、県南のDVセンター設置に向けた市町村への要請状況はどうか。
●[再] 暴力被害者の心理支援は専門とする心理カウンセラーの継続した治療を必要とする。
児童虐待における児童、DV被害を受けた女性、母親、児童への心理的支援は当然必要とする。被暴力の影響は複雑性PTSD、精神的影響、その後の問題行動化などへつながることが多い。
回答/保健福祉部長
 次に、女性相談センターに常勤の心理士や社会福祉士を配置すべきと思うがどうかとのご質問にお答えいたします。
 現在、女性相談センターには非常勤の心理カウンセラーを1名、社会福祉主事の資格を有する相談及び調査を担当する常勤の職員を3名配置しております。
 職員の配置にあたっては、相談内容や相談件数の推移などを踏まえながら、毎年度必要な見直しを行ってまいります。
 次にDVセンターの設置は努力義務とされております。このため、県といたしましては、市町村に対して、担当課長会議や研修会等において、DVセンターの設置について、働きかけを行っているところであります。

質問/遊佐美由紀
(4) 新宮城県ひとり親家庭自立促進計画では、相談の充実や自立に向けた支援を進めるとしているが、平成15年調査に基づく同計画は、社会状況の変化もあり実効性が問われる。次期計画策定のためにも、当事者からの聞取りやアンケート等の実態調査をすべきと思うがどうか。
回答/保健福祉部長
 次に、新宮城県ひとり親家庭自立促進計画の次期計画策定に向けた実態調査についてのご質問にお答えします。
 「新宮城県ひとり親家庭自立促進計画」は、平成22年度には、次期計画を策定することになります。その策定にあたっては、ひとり親家庭等からの聞き取りや、アンケート調査により実態を把握し、計画に反映させていきたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
(5) 生活保護を受ける母親が抱えている課題の解決には、家計、就労、育児等の継続的な支援が必要であることから、行政窓口にソーシャルワーカーの配置が必要だ。埼玉県では、ソーシャルワーカーを育成し、市町村のマネジメント事業に従事させることで、日常生活圏域で子どものケアマネジメントの仕組を構築していると聞く。本県も実施すべきと思うがどうか。
●調査・視点
 DV.児童虐待の相談窓口が各市町村のこども家庭課であり、直接相談を受けている職員は、臨時職員が多い。
[※実態 ヒヤリング]
 家庭内での暴力対する相談は、緊急性が発生せうると同時に安全の確保が優先される。
 その意味において相談者自信の安全も確保されなければならない。役所のなかで安心して相談に応じられる体制があるのかどうか。また、非常時の判断はどのようにされているのか。
回答/保健福祉部長
 次に、日常生活圏域における子供のケアマネジメントの仕組みの構築についてのご質問にお答えいたします。
 日常生活圏での子どものケアマネジメントについては、家計、就労、育児等の多角的かつ継続的な支援が必要であり、ケースワーカーや民生委員・児童委員、母子自立支援員等の地域資源の有機的連携のもとに行われるべきものと考えております。
 市町村では、これまでもこのような視点でケアを要する子どもに支援してきておりますが、より一層、効果的な対応ができるよう、県といたしましても、様々な機会を捉えて、市町村職員の資質向上を図っているところであり、今後とも、市町村との連携の強化に努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
(6) 内閣府の調査によれば、配偶者から何度もDVを受けている女性が一割もいる。DV予防の取組として、若年世代のデートDV等の防止について、学校で教育すべきと思うがどうか。
再○学校教育のプログラムの中に具体的に入れる必要がある。
  1. 小中学校では、CAPプログラムの実践
  2. 中・高校・大学 デートDVの講習
  3. 母親・一般 母親教室 子ども虐待防止講習会
  4. 報道 防止月間キャンペーン
仙台市。県の広報 市町村での広報・防止啓発活動はどうか。
回答/教育長
 大綱2点目、DV対策・石巻殺傷事件についてのご質問のうち、学校におけるDV防止の取組についてのお尋ねにお答えします。
 DVの問題は、根本的には他者への思いやりや、いたわりの心、人間の尊厳の意識など、人として必要な倫理観の欠如から生じる問題と考えております。
 このような人として欠くことのできない倫理観は、幼児期から各発達段階において、家庭や地域・学校で適切に育まなければならないものと思っております。
 このような認識にたち、小学校、中学校、高等学校においては、道徳教育うぃはじめとして教育活動全体で取り組んでいるところであります。
 特に高校では、高校生全員が学ぶことになっている「家庭科」の授業の中でも、DV問題について、学習しております。

質問/遊佐美由紀
(7) 男女の固定的役割分業に肯定的な人は、DV加害者になりやすいとの調査結果がある。男女共同参画社会の形成がDV根絶に繋がるが、市町村や県民は、担当組織が班となったことで取組が後退したとの印象を持っている。県の姿勢を示すことこそ、DV防止と県民の安全を守ることに繋がることから、男女共同参画施策の充実と課組織の復活が望まれるがどうか。
回答/教育長
 次に、男女共同参画施策の充実と課組織の復活についてのご質問にお答えいたします。
 男女共同参画施策においては、DV根絶に向けた組織も重要であると認識しており、宮城県男女共同参画基本計画に基づき、関係部局との連携により、男女共同参画施策を着実に推進しておりますので、引き続き、現組織体制で対応できるものと判断しております。

質問/遊佐美由紀
(8) 子どもの権利を明文化した条例を制定する県が増えている。子どもを社会で育て、虐待を防止する県民共通の意志を明確にするため、本県も条例制定の取組を進めてはどうか。また、次世代育成の推進には、縦割り行政ではなく総合化が求められており、国では子ども・家庭省に向けた取組を始めていることから、本県も子ども局を整備すべきと思うがどうか。
回答/知事
 次に、本県子ども条例制定の取組を進めてはどうかとのご質問にお答えいたします。
 子どもと子育てを応援する社会の構造については、社会全体で取り組まなければならない重要な課題と認識しております。
 私もマニフェストにおいて、生まれてから大人になるまで、子どもとその親への切れ目のない一体的な支援を、市町村と力を合わせて進めることを掲げております。
 県では、「新みやぎ子どもの幸福計画」により次世代育成支援を行っておりますが、県民意識の醸成を図りつつ、施策を一層推進するための条例も視野に入れて取り組んでいるところです。また、現在、子育て問題対策調査特別委員会においても議論が進んでいるところであり、その経過も踏まえて対応したいと考えております。
 次に、子ども局を整備すべきと思うがどうかとのご質問にお答えいたします。
 次世代を担う「子ども」に係わる施策を部局の枠を超えて総合的に推進するため、「宮城県次世代育成支援・少子化対策推進本部」を設置しているところであります。
 まずは、どのような施策を展開していくかということが重要であり。現時点では局の設置については考えておりませんが、引き続き、国の動向などにも考慮しながら対応してまいります。
 私からは以上でございます。

3 教員の特別休暇について

質問/遊佐美由紀
(1) ダンス作品の創作と上演のための英国滞在を欠勤とされて懲戒処分を受けた教員からの不服申立てについて、県人事委員会は1月、減給4月の処分を2月に修正する裁決を行った。県教委は、この裁決をどう受け止めているのか。また、今後の特別休暇や研修制度にどう反映させていくのか。
回答/教育長
 次に、大綱3点目、教員の特別休暇についてのご質問のうち、県人事委員会の裁決についてのお尋ねにお答えいたします。
 県人事委員会の裁決につきましては、県教育委員会が主張した処分理由がすべて認められた中で、処分の量定については、県人事委員会の認識するところの「社会通念」の観点から修正がなされたものと受け止めております。
 県教育委員会としては、懲戒処分にあたり、事実認定等を行い、諸事情を総合的に十分勘案して処分決定したものでありますので、今般の裁決内容についてはいささか理解し難い感もありますが、今後とも、特別休暇の運用に当たりましては、条例及び県人事委員会規則に従い、適切な運用を図って参りたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
(2) 今定例会に提案されている県教育振興基本計画には、教員の資質向上のため各種の自己研鑽を支援すると記されている。教員の能力向上と豊かな教育実践の基盤とするため、芸術文化活動は重要であることから、学校職員の特別休暇が芸術文化活動を排除するものではないとの解釈に立ち、規則を改正すべきと思うがどうか。
回答/人事委員会委員長
 大綱3点目、教員の特別休暇についてのご質問のうち、人事委員会規則を改正すべきとのご質問にお答えいたします。
 学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則第20条は、特別休暇として認められる場合を列挙しております。芸術文化活動についえは、明文の規定はありませんが、様々な形態が想定されますことから、個々の事業ごとに判断することが適切と考えられますので、第32号に掲げる「前各号に掲げるもののほか任命権者が特に必要と認め人事委員会の承認を得た場合」という現行の規定に基づき対応することとしておりますのでご理解願います。

質問/遊佐美由紀
(3) 教職員の資質向上のため、企業や芸術文化関係団体等で研修し、その経験を現場に活かすことも重要だ。兵庫県では芸術文化拠点での1か月以上の研修が認められており、本県でも採り入れる必要があると思うがどうか。
回答/教育長
 次に、教職員の研修に関するご質問にお答えいたします。
 教職に求められる幅広い教養の一環として、芸術文化への識見を高めることは、児童生徒の感性と豊かな情操を培う上で意義のあることと考えております。
 こうした観点から、例えば、10年経験者研修の選択研修において、芸術文化活動も含め、希望する研修先を選べる制度もあり、県教育委員会としては、様々な研修制度を有効に活用して、視野の広い、指導力のある教員の育成を図ってまいりたいと考えております。
 なお、ご指摘のような長期の研修の必要性については、本県においてもかつて教員の長期社会体験研修を実施しておりましたが、10年経験者研修の導入や学校現場における業務運営の実情などを踏まえ、平成17年度をもって取り止めた経緯があり、このような実情も考慮して検討すべきものと考えております。

質問/遊佐美由紀
(4) 今回の事案は、申立てから裁決まで4年半を要し、教員に与えたダメージは計り知れない。人事委員会の客観性や独立性は当然としても、迅速な対応が求められると思うが、その工夫はどうか。
回答/人事委員会委員長
 次に、裁決の迅速な対応が求められるがその工夫はどうかとご質問にお答えいたします。
 人事委員会では、不服申し立てのなされた事案について審理計画を作成するなど迅速な審理を心がけているところですが、他の審理案件の状況や事案の性質によっては残念ながら長引くケースもあります。
 人事委員会といたしましては、今後とも中立かつ公正な第三者機関として適切かつ迅速な審理に努めてまいります。
 私からは以上でございます。

4 インクルージョン教育について

質問/遊佐美由紀
(1) 障がいの有無で分け隔てることのないインクルージョン教育の推進が求められている。県教委は今月、特別支援学校教育環境整備計画により特別支援学校の新設と増改築を発表したが、この方針でインクルージョン教育の実現や課題解決が図られるのか疑問だ。方針決定までの経緯と経過についてどうか。
回答/教育長
 次に、大綱4点目、インクルージョン教育についてのご質問のうち、特別支援学校教育環境整備計画の方針決定までの経緯と経過についてのお尋ねにお答えいたします。
 県教育委員会では、学校教育法の一部改正による特別支援学校制度の施行に伴い、平成19年6月に校名の見直しや地域の特別支援教育のセンター的機能等、今後の県立特別支援学校の在り方について検討するため、有識者等で構成する「特別支援学校在り方検討委員会」を設置しました。
 この委員会におきまして、平成20年7月までは、校名変更の問題を、それ以降は教育環境の整備を検討の中心に検討し、昨年9月、特別支援学校の諸課題の解決を図るための対策が提言としてまとめられました。
 県教育委員会では、この提言を踏まえ、仙台圏域における知的障害特別支援学校の狭隘化等喫緊の課題解決を中心とし、教育環境整備に係るハード・ソフト両面の対策から成る「県立特別支援学校教育環境整備計画」を取りまとめ、先週の教育委員会において決定したものでございます。

質問/遊佐美由紀
(2) 仙台市では、共に学ぶ教育の実施は少人数にとどまると聞く。インクルージョン教育の推進が求められている現在、県と市の目指す方向性が異なるとの疑念も生じるが、市教委に対して再度協議を行い、県の方針実現のため再検討を促すべきと思うがどうか。
回答/教育長
 次に、県の方針実現のため仙台市教育委員会に対して再度協議を行ってどうかとのご質問にお答えいたします。
 仙台圏の知的障害特別支援学校3校の狭隘化解消のため、仙台市に対して市立学校の余裕教室を活用した分教室設置についての協力のお願いをいたしました。
 仙台市においても同じ考え立って検討していただき、複数の候補校の提示がございました。
 これを受け県教育委員会といたしましては、提示された学校の位置、受け入れ可能児童数等の点から慎重に検討いたしましたが、別途協力意向のあった富谷町の小学校への分教室設置の方が、狭隘化解消という点では、より効果的であると判断したものであります。
 仙台市とは、今後も必要に応じて話し合ってまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
(3) 県がこれまで推進してきた共に学ぶ教育や障害児教育将来構想は、国に先駆けた取組として評価すべきものであるが、県ではどう考えているのか。
回答/教育長
 次に、共に学ぶ教育は国に先駆けた取組として評価するべきであるが、県はどう考えているかについてのご質問お答えいたします。
 「共に学ぶ教育」の基本的な考え方は、共生社会形成の基礎となることものであり、特別な教育的ニーズに対応するという点において、特別支援教育と共通の理念に立つものと理解しております。
 今後とも本人及び保護者の希望を尊重し、子ども一人一人の教育的ニーズに対応した特別支援教育の充実に努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
(4) 県教育振興基本計画における共に学ぶ教育の推進に関する取組はどうか。
回答/教育長
 次に、県教育振興基本計画における共に学ぶ教育の推進に関する取組はどうかともご質問にお答えいたします。
 県教育振興基本計画においては、障害のある子どもへのきめ細かな教育の推進を基本とし、発達障害を含め、一人一人の教育的ニーズに応じた特別支援教育の推進を図っていくこととしております。
 具体的な取組としては、障害のある子どもが通常の学級に在籍して学習するための校内支援体制を構築したり、特別支援学校の児童生徒が、居住地の小・中学校で共に学習活動を行うための環境整備を行うこととしています。
 また、障害のある子どもが在籍する学校等に対し、特別支援学校が訪問指導や相談対応、研修会等を実施するなどの支援にも取り組んでまいります。
 私からは以上でございます。

5 がん対策・子宮けいがん予防ワクチン公費助成について

質問/遊佐美由紀
(1) 子宮頸がんは、女性では乳がんに次いで発症率が高いが、HPVワクチン接種により予防が可能で、海外20数か国で公費負担が実施されている。国内でも独自に助成している市町村があるが、国や県の助成がないため対策が遅れている。そこで、県として、子宮頸がん予防ワクチンの普及啓発とワクチン接種助成を行うべきと思うがどうか。
回答/保健福祉部長
 次に、大綱5点目、がん対策・子宮頸がん予防ワクチンについてのご質問のうち、県の子宮頸がん予防ワクチンに対する取組についてのお尋ねにお答えいたします。
 子宮頸がんの予防には、ワクチンの接種が有効であると認識しております。
 国においては、現在、予防接種制度全体の見直しが行われており、この中で子宮頸がん予防ワクチンについても、在り方等が検討されております。
 県といたしましては、こうした国の動向を注視してまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
(2) 県のがん対策推進計画では、子宮がんと乳がんの検診受診率70%以上を目標に掲げているが、実績は30%台に止まっている。そこで、受診率を高めるため、乳がん検診のマンモグラフィ撮影とその後の受診を同日に行えるよう、医師会の協力も得て改善すべきと思うがどうか。また、がん検診受診率の向上方策についてどうか。
回答/保健福祉部長
 次に、乳がん検診の実施方法やがん検診受診率の向上方策等についてのご質問にお答えいたします。
 がん検診については、市町村が実施主体となり、医師会や検診団体等と調整し実施されております。
 関係機関においては、これまでも検診を受けやすい環境整備等に取り組まれてきたところですが、県といたしましては、さらに、検診受診の利便性が図られるよう、体制の整備等の支援に努めてまいります。また、我が県のがん検診受診率は、全国と比較して高い水準になっておりますが、目標達成にはなお一層の努力が必要であると認識しております。
 こうしたことから、国や市町村、企業との連携を一層強化し、検診の普及啓発を推進するとともに、「ピンクリボン運動」等の活動を展開することで、受診勧奨に取り組んでまいります。
 私からは以上でございます。