改革みやぎ・県議会報告

2009年6月
~平成21年6月 第323回宮城県議会定例会一般質問から~

1 知事の政治姿勢と県政運営について

質問/遊佐美由紀
(1) 知事は「民の力」を活かし、富の循環により豊かな地域づくりを進める方針だが、公共事業型の政策では、県政の課題解決のための行動も悪循環に陥る。今こそ、農業などの内発的産業や、若年者、高齢者、障がい者、女性の力を最大限に発揮できる産業の振興のため、環境、医療、福祉、教育を重視した政策への転換が必要であり、そのためには、人づくりを中心に据えた県政への転換を図るべきと思うがどうか。
回答/知事
 ゆさみゆき議員の一般質問にお答えします。大綱3点ございました。大綱1点目、知事の政治姿勢と県政運営についてのご質問にお答えします。
 初めに、人づくりを中心に据えた県政への転換を図るべきとのお尋ねにお答えします。
 私は、我が県が、民の力を活かしながら将来に向けて持続的に発展していくためには、人づくりが重要であり、あらゆる分野の世策を推進する上での根幹をなすものであると考えております。こうしたことから、宮城の将来ビジョンにおいても、人づくりに取り組むことを明確に示しており、学校教育はもとより、若年者や高齢者など様々な方々に、医療、福祉などを含めたあらゆる分野で活躍していただけるような、人づくりのための施策展開に努めております。
 今後とも、我が県を取り巻く諸課題に的確に対応して行くため、地域社会を支え、未来を創造する人づくりに引き続きしっかりと取り組んでまいります。

質問/遊佐美由紀
(2) 選挙への関わり方について
(イ) 知事は地方主権の実現を目指すと発言しているが、今秋の知事選挙に向けて進退はどうか。
(ロ) 来るべき国政選挙には、どのようなスタンスで臨むのか。
回答/知事
 選挙への関わり方についてのご質問にお答えします。
 初めに、知事選挙に向けての進退はどうかとのお尋ねにお答えいたします。私の任期は11月20日までございますので、まずは任期いっぱい職責を果たして参りたいと考えております。
 次に、国政選挙へのスタンスについてのお尋ねにお答えいたします。私は、知事として、一党一派に属さず、全ての政党と等距離で、中立の立場で臨んでおります。しかし一方では、政治家でもありますので、これまでお世話になったことなども含め付き合いの度合い、あるいは自らの思想信条に照らして、国政選挙の際にはどのように対応するか、総合的に判断することになろうかと考えております。
 いずれにしましても、実際に応援要請等があった段階で、よく考えて行動したいと思います。

質問/遊佐美由紀
(3) 今回の県の補正予算は、公共事業の規模が大きく、県民生活の安定に繋がる施策が少ないが、補正予算の基となっている国の経済対策についての評価はどうか。また、本県の雇用創出見込みと経済効果についてどうか。
回答/知事
 国の経済対策についての評価と本県の雇用創出見込みや経済効果についてどうかとのご質問にお答えいたします。
 国の経済対策では、現下の厳しい雇用経済情勢に対応するため、過去最大規模の補正予算が編成され、公共事業のみならず、雇用金融対策、安全安心対策、地球温暖化対策、少子高齢化対策など、その内容は、充実したものとなっており、景気の底上げとともに持続可能な経済成長に繋がって行くものと高く評価しております。
 今回の県の補正予算も、国の経済対策に対応し、県民生活の安心確保、将来に向けた課題解決などの観点から、編成したものであります。
 ご質問の雇用創出見込みについては、今回の補正予算による緊急雇用創出事業により、約5,900名を見込んでおり、ふるさと雇用再生特別基金事業と併せて、平成23年度までに、約11,200名の新規雇用創出を目標としております。
 また、経済効果については、事業内容も消費喚起から建設投資まで多岐にわたることから、数値化することは困難でありますが、今回の補正予算に計上した事業を着実に推進していくことにより、大きな効果につながっていくものと認識しております。

質問/遊佐美由紀
(4) 仙台市では、勤務先の都合による失業に伴う生活保護受給者は、昨年の約3倍に上っている。生活保護世帯の就労支援体制充実のため、各福祉事務所に就労支援員やソーシャルワーカーを配置すべきと思うがどうか。
回答/保健福祉部長
 大綱1点目、知事の政治姿勢と県政運営についてのご質問のうち、生活保護世帯の就労支援体制についてのお尋ねにお答えいたします。
 生活保護世帯の就労支援については、生活保護受給者等就労支援事業により、職業安定所と連携して就労支援を行っております。各福祉事務所における就労支援体制については、保護率の高い石巻市、塩竈市、大崎市が各1人の就労支援員を配置しており、勤務先の都合による失業を理由とする生活保護が急増している仙台市は、今年度就労支援員を2人から5人に増員しております。
 今後とも、必要に応じて、就労支援員の配置を検討・助言するとともに、議員に対する研修等により質的充実を図るなど、生活保護世帯の就労支援体制の整備に努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
(5) 子育て支援について
(イ) 知事は、本年度の政策財政運営の基本方針で、子育て支援の課題解決を特に力を入れる施策と位置づけて、関連予算を計上しており、また現在新みやぎ子どもの幸福計画の後期計画を策定中と聞く。全国で最も待機児童が多い仙台市を抱える本県として、待機児童ゼロを確実に達成すべきと思うがどうか。また、保育ママ制度の拡充についてはどうか。
(ロ) 子どもの発達や様々な家庭環境に対応できるよう、専門的知識を有する保育士の養成と研修の充実を図るべきと思うがどうか。
(ハ) 児童相談所における福祉専門職の拡充が必要と思うがどうか。
回答/知事
 子育て支援について、待機児童ゼロの達成や保育ママ制度の充実を図るべきとのご質問にお答えします。
 待機児童については、今年度から「待機児童解消推進事業」を実施し、保育所の新設、事業所内保育施設設置、また、家庭的保育事業等を進めることにより、平成24年度までに約600人の定員増を確保することで解消を目指しております。特に、家庭的保育事業、いわゆる保育ママ事業については、待機児童の割合が高い3歳未満児の保育需要に対して有効な施策と考えておりますことから、本事業の拡大を積極的に進めてまいります。
回答/保健福祉部長
 次に、保育士の養成と研修の充実を図るべきではないかとのご質問にお答えいたします。
 現在、県内には指定保育士養成施設が11校あり、子どもの保育のみならず、親支援、地域の子育て支援という社会的役割を担う専門性の高い保育士の養成に努めていただいております。県としても、保育士養成校連絡協議会とともに、保育所等における学生の保育実習のより効果的な実施に向けて取り組んでおります。また、現場の保育士の方々に対しましては、子ども総合センターにおいて、障害児保育研修、保育士リーダー研修、カウンセリング研修など専門性の高い現任保育士研修を実施しております。
 今後とも、関係機関と連携し保育の質の向上に向けた取り組みを進めてまいります。
回答/保健福祉部長
 次に、児童相談所における職員の拡充についてのご質問にお答えします。
 児童相談業務についてはより困難なケースが増加している状況にあります。県といたしましては、児童相談所に配置すべき児童福祉司について、国の設置基準を上回る職員を配置するとともに、心理判定員や保育士などその他の専門職員の配置についても配慮しているところです。
 今後とも、児童相談所の相談体制の充実や市町村への技術的な支援などを着実に推進するため福祉専門職員の適切な配置に努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
(6) 男性に育児休暇を義務付けるパパ・クオータ(割当て)制度が、北欧等で導入されており、国内でも制度化した市町村がある。本県も、全国に先駆け制度を導入してはどうか。
回答/知事
 男性職員に育児休暇を義務付けるパパ・クオータ制度についてのご質問にお答えいたします。
 男性職員の育児参加の促進は重要な課題であると認識しておりますが、北欧等のパパ・クオータ制度については、所得保障の問題や、法制度上の制約等があることから、本県単独で導入することは、大変難しいものと考えております。そのため、本県の知事部局においては、今年度4月から、本県独自に宮城県職員互助会から新たに育児休業補償金を支給し、経済的な支援を行うなど、「新マイパパ子育て参加プロジェクト」として、新しい取組を開始したところです。
 今後とも、男性職員が育児休業を取得しやすい職場環境づくりに取組むよう管理監督者を指導してまいります。

質問/遊佐美由紀
(7) 県は、小中学校で、国の基準を上回り、35人を超える学級の解消を図る学級編制弾力化事業を実施している。教員からも児童生徒一人一人に応じたきめ細かな対応ができたと成果が報告されていることから、事業を拡充すべきと思うがどうか。
回答/教育長
 大綱1点目、知事の政治姿勢と県政運営についてのご質問のうち、初めに、学級編成弾力化事業の拡充についてのお尋ねにお答えいたします。学級編成弾力化事業は、法令に基づいた教職員定数の中で最大限の工夫を行いながら実施しており、国の教職員定数改善がなされない中で拡充することは、大変困難であることをご理解願います。
 なお、県では、引き続き国に対し、教職員定数の改善を要望することにしております。

質問/遊佐美由紀
(8) 本県では、障害児教育将来構想の基本理念の実現に向け、通常学級で学ぶ障がいのある児童生徒を支援する校内システム構築を目指し、「共に学ぶ教育」を全国に先駆け実施し、その成果が報告されている。同事業を促進するため、現在策定中の教育振興基本計画に位置付けるべきと思うがどうか。
回答/教育長
 「共に学ぶ教育」を促進するため、教育振興計画に位置付けるべきではないかとのご質問にお答えいたします。「共に学ぶ教育」の基本的な考え方は、共生社会形成の基礎となるものであり、現在の特別支援教育と共通に理念に立つものと理解しております。「共に学ぶ教育」の教育進行基本計画への位置付けについては、児童一人一人の教育的ニーズに対応した特別支援教育の拡充の観点から、現在教育振興審議会において検討うぃいただいているところであります。

質問/遊佐美由紀
(9) 今議会に契約締結が提案されている教育・福祉複合施設について、虐待防止、一時保護、不登校や発達障がいの対応などの機能のあり方を検討するため、専門家やNPOを含む検討委員会を設置すべきと思うがどうか。
回答/教育長
 次に、教育・福祉複合施設についてのご質問にお答えいたします。
 教育・福祉複合施設整備事業については、教育と福祉の連携によるこれらの機能の充実・強化を大きな目的の一つとしており、各期間の機能のあり方等については、これまでも、外部の専門家等のご意見を頂戴しながら検討を行ってきたところであります。これを踏まえて、今議会において契約の締結についてご承認をいただき次第、教育庁と保健福祉部の横断的な検討組織において、詳細を詰めてまいりたいと考えております。
 なお、これらの検討にあたりましても、専門家や関係団体等のご意見は大変重要と受け止めておりまして、社会福祉審議会や、広域特別支援連携協議会など既存の協議会等を活用するなどして、外部有識者や関係団体の代表者等からも広くご意見を頂戴してまいりたいと考えております。

質問/遊佐美由紀
(10) 男女共同参画社会の実現は、国や県の大きな課題だ。県では、男女共同参画推進課を他課室と統合し共同参画社会推進課の一班に再編したが、市町村に与える影響は大きく、市民団体等から班を課に復活するよう要請されていることから、課組織として充実すべきと思うがどうか。また、今議会に条例が提案されている婦人会館の移転を機に、男女共同参画センターとして整備してはどうか。
回答/環境生活部長
 大綱1点目、知事の政治姿勢と県政運営についてのご質問のうち、男女共同参画社会の実現についてのお尋ねにお答えいたします。
 初めに、共同参画社会推進課内の男女共同参画推進班を「課」組織として充実すべきとのご質問にお答えいたします。今回の再編は、限られたマンパワーを集約し、NPOや地域団体などの多様な主体と協働しながら、各種施策を一体的に推進することを主眼とした再編でございます。引き続き現体制で進めてまいります。
 次に、婦人会館の移転を機に、男女共同参画センターとして整備してはどうかとのご質問にお答えいたします。男女共同参画センターとして整備するためには、新たに求められる役割や機能の整備が必要であり、財政状況を含めて総合的に検討していく必要があると考えております。

2 難病対策・膵嚢胞線維症(すいのうほうせんいしょう)の治療環境の実現について

質問/遊佐美由紀
(1) 治療費の負担に苦しむ難病患者を支援するため、国は今回の経済対策の一環として、医療費の負担が軽減される特定疾患治療研究事業の対象疾患を追加することとしている。難病対策の充実のため、県としても積極的な取組が必要と思うがどうか。
回答/知事
 大綱2点目、難病対策・膵嚢胞線維症(すいのうほうせんいしょう)の治療環境の実現についてのご質問のうち、特定疾患治療研究事業の対象疾患の拡大についてのお尋ねにお答えします。
 我が県の特定疾患治療研究事業では、約13,000人の方々が認定を受けており、難病対策として重要な事業の一つであると考えております。県といたしましては、国が対象疾患を拡大した場合は、国の指定に応じて、事業の拡大を図ってまいります。

質問/遊佐美由紀
(2) 極めて稀な難病である膵嚢胞線維症の患者の治療環境を実現する会が、仙台市で発足した。国際的に標準化されている消化酵素剤等の治療を可能にすること、及び特定疾患治療研究事業の対象とすることについて、国に求めるべきと思うがどうか。また、医療機関との連携により、県内における診断や治療の体制を整備すべきと思うがどうか。
回答/保健福祉部長
 大綱2点目、難病対策・膵嚢胞線維症の治療環境の実現についてのご質問にお答えいたします。
 初めに、消化酵素剤等の治療を可能にすることについてのお尋ねにお答えします。膵嚢胞線維症の治療に使われる消化酵素剤等の保険適用には、まず薬事法の承認が必要になります。現在、国内外の製造メーカーが共同して年内の承認申請を目指し準備中と聞いておりますので、この動向を見守ってまいります。
 次に、特定疾患治療研究事業の対象とすることについてのご質問にお答えします。現在、特定疾患は45あり、膵嚢胞線維症を初め、まだ多くの疾患が指定されていないのが現状です。県といたしましては、引き続き難病対策の充実を図るため、各都道府県と連携を図りながら、個別の疾患に限定することなく対象疾患の拡大を国に求めてまいります。
 次に、診断・治療体制の整備についてのご質問にお答えします。膵嚢胞線維症の医療体制については、現在、東北大学、県立こども病院を中心とする医療関係者のネットワークにより行われていると承知しております。専門医による研究が進められておりますので、当面、当該研究に動向を注視してまいります。

質問/遊佐美由紀
(3) 難病相談支援センターの機能を充実するため、入居先建物を管理する仙台市に対し、減免を働きかけるべきと思うがどうか。また、相談から解決に向けて迅速に対応するため、保健所及び医療機関との連携を強化すべきと思うがどうか。
回答/保健福祉部長
 難病相談支援センターの使用料の減免についてのご質問にお答えします。難病相談支援センターが入居している仙台市交通局の本庁舎の使用料については、今後、仙台市において減免等を検討すると聞いております。県といたしましては、難病団体の運営の実情等、必要な情報を仙台市の方に提供してまいります。
 次に、センターと保健所、医療機関との連携強化についてのご質問にお答えします。難病相談支援センターは、難病患者やご家族の皆さんの日常生活の悩みや不安についての相談・支援を行っております。県といたしましては、これまで以上に保健所、医療機関等との連携を密にし、相談員の資質の向上に努め、更なる相談体制の充実を図ってまいります。

3 禁煙対策について

質問/遊佐美由紀
(1) みやぎ21健康プランでは、平成22年度を目標年度として、禁煙希望者の支援や施設の受動喫煙防止対策について、数値目標を掲げながら取り組んでいるが、県及び市町村の受動喫煙防止に関する目標達成のための取組状況はどうか。また、入口に灰皿を設置している施設については、灰皿の撤去など早急な対応が必要と思うがどうか。
回答/知事
 大綱3点目、禁煙対策についてのご質問にお答えいたします。  初めに、県及び市町村の受動喫煙の防止に対する取組についてのお尋ねにお答えいたします。県といたしましても、みやぎ21健康プランにおいて「公共施設における分煙対策の推進」を掲げ、すべての公共施設で分煙対策が講じられるように、啓発活動を推進してまいりました。具体的には、毎年「公共施設における受動喫煙対策調査」を実施し、その状況を公表するとともに、市町村の施設管理者等を対象に「自治体禁煙セミナー」を開催するなど、取組を進めてきたところです。
 なお、ご指摘がありましたように、施設の入口に灰皿を置くなど、受動喫煙対策が不十分な施設もあることから、今後も市町村等関係機関と協議しながら、有効な対策となるよう努めてまいります。

質問/遊佐美由紀
(2) 神奈川県では全国に先駆け、4月から公共施設における受動喫煙防止条例を施行し、県民の命を守る対策を講じている。本県も、受動喫煙防止条例を検討すべきと思うがどうか。
回答/知事
 受動喫煙防止条例を検討すべきとのご質問にお答えいたします。
 今年3月、国において「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会」報告書が取りまとめられ、公共の場における全面禁煙等の基本的な方向性が示されたところです。県といたしましては、広く県民の理解を得ながら、効果的な受動喫煙防止対策が実施できるよう、努めてまいります。なお、条例設置の必要性については、先に条例を制定した神奈川県の成果等も踏まえながら、今後研究してまいります。