北竜町 講演+視察のたび

2005年
 北海道雨竜郡北竜町は、札幌から北東へおよそ100km、特急列車で50分ほどの距離に位置する。人口は約2,500人、他の観光地と比べ「何もない町」と言われていたが1977(昭和55)年から減反政策を利用してヒマワリによるまちづくりを開始。現在では日本最大の栽培面積を誇るまでになった。毎年8月の開花時には、約23万人もの観光客が訪れにぎわっている。
 特産物は有機減農薬米「北竜の米」、ひまわりスイカ、メロン「龍の鈴」のほかに、ヒマワリを利用したさまざまな加工品が開発されている。町内の「ひまわり観光センター」では、種を利用したクッキーや、アイスクリームなども販売されている。
 宿泊は第3セクターの「サンフラワーパークホテル」。道の駅と天然温泉も併設され、室内からは咲き乱れる「ひまわりの里」が一望できる好立地。温泉を定期的に利用する町民も多いようだ。

講演「次世代をつなぐ農村の健康で豊かなくらし」
「歌う」ことと「話す」ことは健康にいちばんいい。まずは皆で発生練習から。


子どものこと
 心の健康がまず大切。友達と遊べない子どもがいる。おじいちゃん、おばあちゃんたちのあたたかさで、子どもの再生が田舎では可能!宮城はササニシキの故郷。もまれた稲は強くなる、すなわち子育てにつながるのではないか。

角田市「あぶくま農学校」の事例
 20年以上前からおじいちゃん、おばあちゃんたちが先生となり、都市部から子どもたちを受け入れている。農業の大切さがわかった子どもたちは、米を残さなくなったという。また角田市の米は、目黒区の学校給食に使われている。

旧宮崎町(現加美町)の活動
 何もない町が合併でなくなる→民俗研究家 結城登美雄さんの案で「食の文化祭」をやろうと住民が動き出した。「煮物でいい?」「ハンバーグでも?」と半信半疑ながら家で普段作っている一品ずつを持ち寄ったところ、結果3000食にもなり、1万人規模の集客があった。伝統文化をつなぐ大切な役割を果たす。

故郷 鳴子町のこと
 平成18年4月から合併する。一見、何もない場所のようであっても、マンパワーがある。これはグリーン・ツーリズム(以下GT)の可能性を秘めている。GTとは? 欧州でさかんな、農村で休暇を楽しむライフスタイル。農村に憧れる若者が増えてきている。鳴子に来て、元気をもらって帰っていく。

鳴子スタイルへ
 高齢者が先生となり田植え・稲刈りなどと湯治をセットにして応募したところ、都会の若者が60人余りも参加。昔ながらの「湯治」から「現代版湯治」への移行である。そんなまちづくりが認められ、自治大臣賞をもらう。

北竜町での可能性
 ここだけの「食」があればもっといい!→食の文化祭につながるかもしれない。
 農村では一人ひとりが大切にしてもらえる。→心の傷や病が癒される。
宮城県立こども病院児童精神科の本多先生は「農村で過ごすと、子どもたちが元気になる。おじいちゃん、おばあちゃんたちに大切にしてもらい、復活する」と言う。
 例えば東川町(北海道上川郡)「農業体験型修学旅行」の試みは、1年かけて修学旅行の受け入れ態勢を整えた。→子どもたちから感謝の手紙がきたところ、受け入れ側も元気になる。いまのところ旅館業法・消防法など制度の壁がある。
 農村には子ども、ひとを再生する力がある!

男女共同参画
 例えば近年活動が目立つ「農家レストラン」も女性のパワー。
 女性の力が社会の力になるチャンス!  動き出してみませんか?

2日目・視察
「ひまわりの里」視察
 2日目の講演終了後は、まずヒマワリ畑を視察。大量に栄養分を必要とするヒマワリの連作障害を克服するため、花が終わるとチョッパーをかけて鋤き込み緑肥とし、大量の堆肥を投入するとのこと。種はヒマワリ油に加工される。また地域の中学生が管理しているヒマワリ畑では、世界各国の珍しいヒマワリたちを観賞することができる。

「ファームトゥモロ」(町内)視察
 平成5年に大阪から移住し、研修の後、平成7年から農業を始めた土居健一さんの農場。約6haの栽培面積に米、ハウストマトなど多品目で有機栽培に取り組んでいる。農協を介さずに、生協などに直接販売をしている。

ファームレストラン&カフェ
「ママズ・キッチン」(滝川市)

 自家産の米・野菜を使ったスープカレーのおいしい農家レストランがあるとうかがい、やってきたのが、田んぼの中にぽつんと1軒立つ「ママズ・キッチン」。同敷地内で米、野菜の直売も行っているほか、農園で野菜や果樹のもぎ取り体験もできる。

「一宿一飯一趣」
(雨竜町 ひろたまゆみさんのB&B)視察

 ひろたさんはNPO法人北海道B&B(1泊朝食付き民宿)協会を立ち上げ、自らの家もB&Bとして開放している。多忙のひろたさんは、札幌と行き来しながらも小さな畑を耕し、自給自足の生活を志している。収穫した野菜やハーブは宿泊者の朝食としても供される。