宮城復興計画に男女共同参画の視点を!知事へ要望
2011年7月31日
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7月24日おんなの語り場を開催し、100名の皆さんに参加いただきました。おんなの語り場実行委員として、手作りのイベントで進めてきました。被災地の岩手、福島、宮城から地域の現状と課題、支援についてスカイプで語りあいました。実行委員会として、その声を受け止め村井知事に要望書をしました。7月27日はおんなの語り場実行長の八幡悦子さんはじめ超党派の女性議員の皆さんと以下の要望を宮城の復興計画責任者の伊藤部長と意見交換をしました。男女共同参画の視点を復興計画に反映するために取り組んでゆきます。
要 望 書
2011年7月27日
宮城県知事
村井 嘉浩 様
代表 八幡 悦子
仙台市青葉区台原13-23レジデンス台原1F
TEL・FAX:022-233-2434
[URL]http://miyagi-jonet.blogspot.com
宮城県復興ビジョン策定に向けて、多様な市民の視点を盛り込むことを求める要望書
東日本大震災復興に向けての皆様のご努力に敬意を表します。
私たちおんなの語り場実行委員会は、大震災からの復興に向けて、女性をはじめとする多様な立場の人々の意見が反映されることを求めて本年5月に立ちあがったNGOです。
6月末、復興基本法が制定され、国の復興構想会議の提言が提出され、宮城県でも独自に宮城県震災復興計画(第2次案)が策定され、パブリックコメントの募集を開始されたと伺っております。
災害からの復興は国の提言の「復興事業の担い手や合意形成プロセス」において明記された通り、「住民意見の集約にあたっては、女性、子ども、高齢者、障害者、外国人等の意見についても、これを適切に反映させ、また将来世代にも十分配慮しなければならない」ことは論を待ちません。しかしながら、復興に向けた計画等策定の意思決定の場には、国のみならず地方自治体においても女性をはじめ障害者・外国籍市民・LGBT等の性的少数者等の多様な市民の参画が保障されていない現状にあります。
復興の目的の一つは、震災前よりも「災害に強い社会」をつくることであり、そのためには、女性、子ども、高齢者、障がい者、外国人等、多様な立場の人々が復興・防災の計画の段階から参画し、実施に中心的役割を担うことが不可欠です。
宮城県におかれましては、復興提言の趣旨を踏まえ、他の国際的な基準に沿って、更に内容を豊富拡充した基本計画の作成に向けて、災害時において社会的脆弱性を持つことを強いられている人々の健康と人権を守り、多様な当事者の意見反映を確保し、復興後の市民に生活困窮や所得格差の拡大が生じることのないよう「参加型」の長所を発揮され取り組まれますよう、以下の通り要望します。具体的な取り組みについての要望は別紙を参照お願いします。
- 宮城県震災復興計画の基本理念において、男女共同参画の視点を盛り込むこと。
- 復興に係る計画の策定、計画の実施に当たる組織構成や意思決定機関に女性を最低30%参画させること。
- 被災の状況を詳細に調査し、その実態を正確に把握すること。その一環として被害と復興の状況に関する情報を性別で収集し、ジェンダー別統計として示すこと。性別による男女の被災状況の共通点、相違点の要因を分析すること。これらの分析に基づいて復興支援や防災計画を策定、実施し、(被災前よりも)災害に強い社会を築くこと。
- 復興計画において男女共同参画の充実を図るため、数値目標と達成期限を設定すること。
※数値目標の例
- 住民からなる合意形成の機関において、構成員の最低30%を女性とすること
- 地域防災リーダー等は、男女50%ずつとすること
- 復興事業において創出される雇用機会の50%を女性向けとすることを、事業実施企業に義務づけること
- 3年後に、法定労働時間で就労した場合、生活保護受給金額以上の収入を確保できる働き方となる女性の割合を、男性フルタイム労働者の全国平均である80%とすること
- 復興計画に労働者の保護についての項目を盛り込み、特に被災した女性等就労困難者の雇用確保を最優先とすること。よりよい雇用機会と労働環境を確保するための制度を導入すること。また、男女別失業率、就職率等を逐次公表すること。
※想定される制度の例
- 最低賃金を引き上げる
- 社会的企業を制度化し就労困難者の雇用を創出する
- 復興計画の策定決定にあたっては、さまざまな立場にある女性、外国籍市民、LGBTなその性的少数者、障がい者等との協議、聴き取りの場を設け反映させること。これらの人々が意見を言いやすいように配慮した場の設定を行なうこと。
※取り組みの例
- あらゆる年代の女性住民、多様な団体(NGO、NPO等)の当事者、地方公共団体の男女共同参画関連部署の担当者等との協議・聞き取りの場を設けること
- ヒアリングの実施
- 復興計画では、個々の人の生活再建の拠点となる居住の場について、ハードとソフトを組み合わせた安心・安全な居所についての明快な方針をたてること。
- 避難所、その他全国各地に避難している人々の居住の場、仮設住宅、借上げ住宅、復興住宅の計画・設計・管理運営について、多様な被災者の参画と人権を確保し、かつ個々の人のニーズに応じた相談と支援を可能にし、それらを効果的に運営する共同の場を確保すること。
- 被災者の居住の場の計画・設計・管理運営には、女性、障がい者、高齢者等のニーズに応えられる人や専門家等が参画して決定すること。
- 被災者の居住の場において、プライバシーと安全が確保できるよう配慮されていること。
- これらを確保する上でも、居住の場に多様な形態の共同の場(コミュニティスペース、共同リビング、共同キッチン、サロン等)を必ず設け、被災者の交流、支援者との交流、様々な文化活動、情報拠点として機能できるようにすること。
- 仮設住宅、復興住宅においてはグループホームの機能と形態を持つものも設置し、被災者がどのような場にいても、ワーカーの配置等、相談と支援を可能にする体制をつくることする。
- 復興計画に、暴力のないコミュニティの創造という趣旨の項目を盛り込み、女性に対する暴力や子どもへの虐待の実態を把握し、具体的な対処法と今後の防止策を講じること。
※盛り込むべき項目の例
- 教育機関における予防教育
- 継続的な啓発活動
- 仮設住宅のコミュニティスペースにおける民間支援団体による啓発・相談事業
- 外国籍市民、LGBT等の性的少数者、障害者等の人権への配慮等を盛り込み、啓発活動・相談事業に取り組むこと。
※具体的な項目の例
- バリアフリーや安全な地域作り(例えば街路灯の増設等)の推進
- 多言語の広報
- 学習指導要領への位置づけ
- ニーズに合った医療ケア
- ボランティア、NPO・NGO等に対する啓発・人権教育の実施
- 復興ビジョンに、被災地での生活保護基準の実態に即した緩和・特例措置を盛り込むこと。
※項目の例
- 車所持でも生活保護受給可能とすること。
- 交付金の創設等にあたり、緊急雇用創出事業によるものも含めて、男女共同参画推進関連事業の配分枠を設け、女性の就労促進に向けて民間支援団体と協力・連携を行うこと
※事業の例
- 仮設住宅訪問による女性の雇用促進
- 子どもの給食事業、子どもの学習支援、子どもの保育等といった部門に女性の就労枠を確保すること
- 原発事故が東北の主力産業である食糧生産等を大きく阻害し、復興を大きく妨げているうえ、劣悪雇用の温床になっていることから、これらの問題解決のため、原発エネルギーへの依存ゼロを目標に掲げた中長期的工程表をつくること。
- 復興事業の推進にあたっては、企業の活用は企業利益優先ではなく地元の再生のための社会貢献的なものとすること。企業のみならず、「新しい公共」といわれるNPO・NGO等社会貢献的な事業を行う民間団体の育成・連携を積極的に行うこと。