選択的夫婦別姓を実現しよう!
2010年8月9日
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6月議会において、私は、改革みやぎを代表して、意見書第15号議案「選択的夫婦別姓の導入に反対する意見書」に反対する討論を行いました。
意見書の取り扱いについて、平成21年3月10日に各会派政務調査会長会議の申し合わせとして、意見書は、議会が対外的に機関意思を表明できる重要な権限であることから、有効適切に行使する必要があり、かつ議会は議会としての自主性を持ち、議会が対外的に議会自らの姿勢を積極的に明らかにするもので、公的な場で十分な審議を行い、真に必要なものについて議決しなければならない。又、議会が対外的に議会自らの姿勢を積極的に明らかにするもので、その取り扱いには慎重を期する必要があり、原則として全会派の合意が得られた場合、提出するものと申し合わせしています。6月25日の最終の政調会長会議では、「選択的夫婦別姓の導入に反対する意見書」は改革みやぎ、社民党、公明、共産の反対で提出が見送られました。
しかし、自由民主党県民会議は、申し合わせを無視し、強硬に提出をすることに対し、6月28日改革みやぎ、社民党、共産の3会派の会長が意見書の取り下げを申し入れ、また、6月29日には、市民団体が「選択的夫婦別姓制度導入などの民法改正の早期実現を求める声明」を発表しました。意見書は、十分な審議を行っていないままの強硬な提出で、提案に至ったことは、宮城県議会の歴史上例をみないものでした。採決の結果、「選択的夫婦別姓の導入に反対する意見書」は賛成多数で可決されました。これは決して民意を反映したとは言い難い結果です。
この、意見書では、「選択的夫婦別姓制度の導入については、多くの問題点があり、特に、社会の基礎的単位である家族の絆に大きな影響を与えるおそれがある。」と指摘しています。
社会の基礎的な単位である家族とは、「家族」は誰にでも分かる言葉であります。1983年の国民生活白書では、家族は、「婚姻と血縁を基礎とし、夫婦を中心に、その近親者らとともに営まれる生活共同体」とされています。つまり、家族の基本条件は、夫婦・親子といった血縁的つながりと、日常生活の共同の2つです。ところが、現在、この定義に該当しない家族が数多く出現しており、この定義は、包括的、普遍的定義でないことが分かります。
かつて、多くの家族は農業をはじめとする「家業」に従事し、生産も生活も共にしていました。しかし、近代家族は生産集団でなくなったと同時に、親と子では仕事も異なり生活も別々、夫婦でもそれぞれ異なる仕事に就いていたり、単身赴任も珍しくないというように「家族」は多様化しています。家族の果たす役割は、文化によって多様であり時代により変化するものであり、現代では、愛情や思いやり等でつながる精神的な関係として存在意義と機能が強調されつつあります。
多くの問題点についてですが、ライフスタイルの多様化に伴い、別姓が選べないことや婚外子相続差別があるために、結婚や出産をためらう人が増加しています。国連女性差別撤廃委員会や子どもの権利委員会などは、法改正を行わない日本政府に対して厳しく勧告しています。
宮城県議会は2月定例会では、あらゆる分野における女性差別の撤廃をうたった「女子差別撤廃条約」選択議定書は、権利の侵害を受けた個人または集団による撤廃委員会への通報制度を定めるなど、女性差別撤廃を促進するために有効な内容を規定しているものであり、日本でも男女共同参画審議会が、「男女共同参画の視点から積極的な対応を図っていく必要がある」として全会一致で採択しています。つまり、別姓が選べないことで、多くの問題点があるのです。
意見書では、「もし、夫婦別姓を選択した場合、子は必ず両親の一方とは異なる「親子別姓」となり、また、一度夫婦別姓を選択した後は、子の姓は夫婦のいずれかの姓に統一され、その後の変更は認められないこととなる。」と指摘していますが、子の姓の変更の点について、法務省が先国会への提出を準備していた法案は、平成8年に法制審議会が答申した要綱がベースだと言われているおり、この要綱でも、子の氏の変更についての規定が設けられています。
意見書では、「別姓により、家族の外側から見ても誰が親子関係にあるのかわかりにくい状況を発生させたり、戸籍や住民票の記載も紛らわしくなるなどの問題を生じる。 社会においても姓で呼び合う文化・習慣が多い中、夫婦・親子「がそれぞれ別姓になると、特に子供に深刻な心理的影響を与えるおそれがある。また、 親子関係をめぐる痛ましい事件が発生している今日において、家族の一体感を一層喪失してしまうのではないか。」と懸念されています。
実際、私は事実婚で、夫婦別姓で、子どもの姓が違います。私たち家族は、1人ひとりの姓を大切にすることは、自分自身を大切にすること、相手を認めてゆくことと家族で話し合い、これまで学校、地域でトラブルありません。大切なのは、家族の信頼関係であること。家族の一体感とは、氏の同一性が保たれるというより信頼関係で気付かれるもの思います。
家族へ与える影響は、夫婦別姓の反対の意見書を強硬に採択すること、これが宮城県議会の総意されること事態、こどもに与える影響が大きいと思います。同姓を反対しているのではありません。別姓を選びたい人もお互いに認めてゆくことは、共生社会の実現のためにもとても大切なことではではないでしょうか。もし、別姓が子どもに深刻な心理的影響を与えるということであれば、明治民法制定以前の子どもたちにはどんな影響があったのでしょうか。また、別姓を認めている諸外国の子どもたちに、深刻な心理的影響があったという例は聞いたことがありません。
意見書では、「現在、政府・与党内においても、選択的夫婦別姓制度について意見の統一がなされておらず、さらに最近行われた世論調査においても、選択的夫婦別姓制度の導入について反対とする意見が賛成の意見を上回るという結果が出されている。」としていますが、最近の世論調査で夫婦別姓反対が賛成を上回っているという指摘ですが、他の世論調査では引き続き賛成が上回っている。また、とくに若い世代では、賛成が増えています。
また、選択的夫婦別姓制度の導入に反対する意見書採択されたが 32件の県では十分に議論されす強行に採決されたとの報告があります。かつて1998年の最高裁判決で「氏名権は人格権で憲法上の権利」という主旨の判決が出されています(1988年最高裁判決)。氏名権は人権である、ということをふまえた上で、多数の賛成が必要という意見は、人権というものを理解していない意見としか思えません。
また、意見書では、「選択的夫婦別姓制度は、まさに国家の根幹部分にかかわる問題であり、拙速に結論を出すことは許されない。」と指摘しています。 我が国における、氏制度の変遷は、
- 江戸時代は、武士は氏を名乗ることが許され、武家の女性は、婚姻しても実家の氏を名乗っていた。農民、町民は氏を名乗ることがで許されていなかった。
- 明治3年 平民に氏の使用が許される。
- 明治8年に、氏の使用が義務化される。
- 明治9年 妻の氏は実家の氏を用いるもとのとされる(夫婦別氏性)
- 明治21年民法(旧法)成立し、一般に婚姻により夫の家に入る妻が夫と同じ性を称することとなる(夫婦同氏制)
- 明治22年 改正民法成立 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫は妻の氏を称することとされる(夫婦同氏制)
- 昭和51年 民法改正
意見書では、「現行制度により生じている女性の社会進出に伴う不都合については、民法を改正するのではなく、旧姓の使用範囲を拡大する法整備を推進することなどにより解決を図るべきと考える。」としていますが、憲法第24条において、家庭生活における個人の尊厳と両性の本質的平等がうたわれており、氏の決定においても個人の自由意思をできるだけ尊重することが望まれます。
現在、日本では、本人が希望しても夫婦別姓は認められておらず、婚姻した夫婦の96%の女性が改正していますが、仕事上の事情から結婚前の姓の名乗り続けたい、生来の姓を自己のアイデンティティと感じ続けるなどさまざまな理由で若い世代を中心に夫婦別姓を望む人が増えています。
選択的に多様な生き方ができ、それぞれアイデンティティを守ってゆくことができる社会をつくっていくために、すみやかな審議と成立が求められます。
引き続き制度の改正を求め活動してゆきます。